バクテリア剤不要論!?金魚や熱帯魚に最適なバクテリア剤の選び方
バクテリアが大事であるということは常々申しております。
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しかしながら、ゼロから立ち上げようとすると約1ヶ月かかるという面倒な作業でもあります。
お祭り金魚なんかは急に持ち帰りますし、やっぱりすぐに魚を水槽に入れて癒しのお部屋を作り上げたいと。
そんな時、ふと熱帯魚屋さんを見ると「バクテリア剤」なんていう商品があるじゃないですか。
ホームセンターなんかじゃ店員さんもおすすめしてくれます。
しかし本来1ヶ月かかるなんていうものを、たかだか数百円で簡略化できるものが本当にあるんでしょうか?
というわけで今回はバクテリア剤の選び方や使い方を含めてご紹介しようと思います。
バクテリア剤とはなんぞね
バクテリア剤とは、簡単に言えば商品としてバクテリアを売っているものです。
多くのふれこみは「水を綺麗にするバクテリアが入っています」ということ。
無数に種類があり、正直結構売れています。
バクテリアは必須ですが、自然に沸かせるなら1ヶ月はかかりますし、ちょっとだけ知識も必要です。
このためライトなアクアリストの方はバクテリア剤を求める方は結構多いですね。
ただ、ネットでは「必要ない」「効果が無い」「ベテランは使わない」といった否定的な意見が多いです。
実際、僕自身たまに使うことはあっても人にお勧めすることはほとんどありません。
でも効果が無いのかというと、それはちょっと短絡的な気がします。
その理由を考えて見ましょう。
実際効果はあるのか?
気になるその効果ですが、ないようであるようでないです。
アンモニアを減らす効果はある
アンモニアは、水槽に自然に発生する毒素のなかで一番害があるといわれていて、実際アンモニアが増えるタイミングで飼育魚を殺してしまう初心者の方は多いです。
バクテリア剤の多くは、主にこのアンモニアを除去するバクテリアを封入しているものがほとんどです。
熱帯魚屋勤務時代に実際に実験してみたのですが、たしかにアンモニアの数値を下げる効果が確認できました。
しかし・・・。
効果が見られないものもあった
実験方法は、単純にアンモニア水を水槽に添加して、その後バクテリア剤を1週間入れ、毎朝アンモニアの数値を計ると言う簡単な方法です。
使用したのは「GEX サイクル」です。
鳴り物入りで登場し、メーカーさんにサンプルとしてもらったはいいものの、キープ水槽はすべて立ち上げてあったので実験に使用しました。
結果、翌日にはアンモニアがほぼゼロで、継続して実験していてもアンモニアが激増することはなかったのでうまく定着していることがわかりました。
いままでのバクテリア剤の多くは添加し続ける必要があったので、この効果は驚きでした。
ただ、商品名は出しませんが効果が見られないものもありました。
アンモニアの数値がほぼ変わらず、添加し続けても通常の立ち上げとおなじような推移で実験終了。
原因は不明ですが、割とロングラン商品なので商品自体に問題があったとは考えにくいので、おそらく保管状態が悪かったのではないかと思います。
バクテリアも生き物なので、環境が悪ければ死んでしまいますし、ボトルの中で生きられるのには限界があります。
なので、ほとんどの商品には消費期限が設けられています。
環境に関しては、基本的にほとんどの商品が店頭で常温保存されているので状況によってはそこで弱りきってしまうこともあるのでしょう。
なので、バクテリア剤は必ず効果が出るものではないと言えます。
亜硝酸には効果がない
アンモニアはバクテリアによって消滅するわけではなく、「亜硝酸」に変身します。
しかも、アンモニアを食べるバクテリアとは違うバクテリアが必要です。
つまり、アンモニアを食べるバクテリアを封入しているバクテリア剤だけでは亜硝酸で魚が死んでしまう可能性があるんです。
そして亜硝酸を食べるバクテリアはバクテリア剤としての保存が難しく、あまり有効な商品がありません。
水槽に住み着かない弱いバクテリアが多い
GEX サイクルは実際長期的にアンモニアを除去してくれていましたが、実は多くの商品でバクテリア剤は添加し続ける必要があります。
通常の方法で自然に定着させたバクテリアの場合、立ち上がってしまえばバクテリアに対してほとんど何もする必要がありません。
つまり、最初にバクテリア剤に頼ってしまうと長期的にコストがかかるのです。
状態のいい水槽に使っても無意味
ありがちなのが「使ってみたけど変化なかった」という評判。
これは正直その環境によりけりで、授業だけで100点取れる子を塾に通わせたって100点のまま。
環境を良くするものをすでにいい環境に使ったって効果が無いわけです。
どうしても熱帯魚界隈には完璧な環境をよりよくしようという考え方の人が多いですが、水槽の最良の状態は「魚が元気に生きていられること」です。
それ以上はありませんし、たとえばコケを生えなくしたいとかそういったことを期待しているならお門違いで、最悪環境を悪化させることもあります。
レビューを探す場合は、「その商品に適した使用目的で試した結果なのか?」を見極める必要があります。
普通に立ち上げるのが一番ではあるが・・・
以上のような理由から、バクテリア剤不要論が巷では定着しています。
実際僕も特別な理由がなければバクテリア剤は使用しません。
ただ、先立って魚を買ってしまった場合そうも行かないシーンもありますし、実は有効な使い方もあります。
ここまでアンモニアや亜硝酸など毒素を除去することを重視した考え方でしたが、バクテリアはそれだけに限りません。
不要論に反旗!バクテリア剤の種類を知ろう
アンモニアを除去するバクテリアを封入したバクテリア剤が多いですが、実はバクテリア剤と呼ばれる商品はそれだけではありません。
この種類を把握することで飼育環境を適正化することが出来ます。
アンモニアを除去するバクテリア剤
これはGEX サイクルのようにここまで説明してきた商品のことです。
サイクルのようにバクテリアサイクルのひとつとして活躍してくれるものもありますが、ほとんどは一過性の効果で、亜硝酸には効果がないです。
可能ならば水槽を空回しして立ち上げることを前提に、急に魚を買う状況になってしまった場合や、水槽のアンモニア濃度が急上昇してしまった場合の急場しのぎに使用しましょう。
大きなごみを除去してくれるバクテリア剤
アンモニアや亜硝酸などの目に見えないものを除去するのではなく、フンや餌の食べ残しなど目に見える有機物を除去してくれるバクテリア剤もあります。
PSBなどが有名ですが、PSBに関してはPSBに入っているバクテリアを餌にインフゾリアなどの微生物が増えたことによる効果な気もしますが、実際ここら辺の効果はそこそこあります。
ただ扱いが少し難しい(目に見えて綺麗な水や、酸素が行き渡っている環境だと活性化しにくい)などの理由から、ベテランアクアリストからは懐疑的な声も上がっています。
逆に、ベテラン勢からはPSBが微生物を増やすことから「稚魚(稚エビ)の餌として使える」という意見がベターです。
実際、僕自身ベタを増やしていたころPSBで生後まもない稚魚の餌を沸かしていました。
また、同様の効果を持つものとして納豆菌を使った商品も多くあります。
納豆菌に関しては僕自身いい経験が無いので多くは語りませんが、単純にフンや餌の食べ残しを除去したいなら適切なろ過装置を設置したらいいと思います。
バクテリア活性剤
これはバクテリア剤とは少し違うカテゴリーですが、有効なのでご紹介しておきます。
最近、バクテリアに適した環境を整えるバクテリア活性剤が増えてきました。
バクテリアも生きているので、環境が悪ければ十分増えることが出来ません。
あくまで初心者向けの商品ではありますが、水槽を立ち上げるのが初めてだという場合には最初だけ頼ってみるのもアリでしょう。
ただ、通常はなくても何とかなるということはお忘れなく。
勤めているショップにも、某ジクラの営業が来てサンプルを置いていきました。
使ったことがなかったのでそのサンプルでも立ち上げ実験をしてみましたが、たしかに苛酷な環境で立ち上げても白にごりなどの発生は抑えられるので、ある程度の効果はあると思います。
ジクラが売れているのは熱帯魚用品らしからぬデザインと、親近感のあるポップの効果も大きいと思いますね。
あの手書きっぽいポップが好きです。
まとめ:不要ではあるが、使い方によっては有効
このようにバクテリア剤は基本無用なものではあります。
実際、ベテランアクアリストのほとんどは使用していません。
変わりにもっといいものを使うというわけではなく、本当になにもなしにバクテリアを操っているんです。
僕自身「バクテリア剤にお金を掛けるならほかにお金使ったほうがいい環境を作れるよ!」と思っています。
ただ、効果が無いと思い込むのはちょっと違うかなと思います。
効果が無いものを売れば詐欺です。そこそこの企業がお金をもらって売っているのならわずかながらでも効果があることは間違いありません。
これはプチ実験してみた結果からも、無用の長物や嘘八百で売っているわけではないことを実感しています。
なので、とくに不安が多い初心者がちょっと困ったときに頼るのはありじゃないかな?と思います。
使い方や適した物に関しては初心者ではわからないですし、実際多くのお店の店員さんも理解していない部分なので、このブログでちょくちょく情報をご提供できればと思っています。
~ 今回の与太話~
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