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【プロが教える】金魚鉢はダメ?金魚にとっては酸欠地獄水温地獄!

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金魚と言えば金魚鉢。名前の通りですよね。

小さな水槽の中で飼う金魚はかわいく見えます。

しかし、実は金魚鉢で金魚を飼うのは超リスキー!ベテランでも少し難しいのが現実です。

 

今回は金魚鉢で金魚を飼うのがなぜ難しいのか、元熱帯魚屋店員が解説していきます。

 

 

 

金魚と言えば金魚鉢

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地域のお祭りのあと、僕の勤めていた熱帯魚屋さんにも「金魚鉢が欲しい」というお客さんがたくさん来ました。

やっぱり「金魚を飼う=金魚鉢」というイメージが強いですよね。

日本では江戸時代からすでに金魚を買う文化が根付き、昭和初期には夏に金魚を売り歩き、夏場に金魚を飼育すると言うのが粋だったと言われています。

 

しかし、現在では「金魚鉢で金魚を飼うのは虐待」という風潮も広まっています。

金魚を飼育するためのものなのに、いったいなぜなのでしょう?

 

 

 

実は金魚に負担が大きい金魚鉢

金魚を飼うための飼育ケースであるはずの金魚鉢ですが、実は金魚の生態を考えるとかなり過酷なものであるということがわかります。 

僕自身、お客さんに「なるべくなら水槽の方が管理は楽ですよ」とおすすめし続けていました。

 

エアレーションがしにくい

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金魚をはじめ、多くの魚は水中に溶けている酸素をエラから摂って呼吸していることはご存知ですよね。

「金魚を飼うならブクブクをいれなゃ」という意識はかなり根付いていると思います。

しかし、金魚鉢はブクブクを入れにくい設計になっているんです。

 

金魚鉢は球状になっていますよね。

これによって、ブクブクを入れると水流が下から上に、上から下にと激しく対流してしまいます。

金魚鉢で飼える金魚は幼く小さいので、この水流に逆らうことで体力を激しく消耗してしまうことになります。

また水流が強いとエラを動かすのも難しいので、結果的に酸素が取り入れにくい状況に陥ってしまうのです。

 

ブクブクは水面を揺らし、入れ替えていくことで酸素を取り込むので、空気の量が少なくても酸素を取り込む効果があります。

ただブクブクを弱くすると言うことは、エアポンプの排気量をコックで無理やり抑えることになるので、エアポンプ自体の負担が大きく故障の原因になってしまいます。

 

「酸素を出す石」も最近では様々なメーカーから発売されていますが、これは水面を揺らさないのであまり効果が無いとされていますし、酸素を出す性質上水質の変化をもたらすので小さい金魚鉢ではおすすめできません。

 

ある程度飼育経験があれば水量に対する酸素の溶け込む量や飼育匹数を加減できますが、初心者の方では難しいのが現実です。

 

 

水温の変化が激しい

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人間が気温の変化が激しい季節の変わり目に風邪を引きやすいように、金魚も水温の変化で病気になりやすくなります。

金魚はもともと寒くても耐えられる魚ですが、水温の変化となると話は別で、感覚的には1日の中で7度以上の水温の変化があると病気になる確立がガクっと上がります。

 

金魚鉢の場合、広く普及しているもので1~2Lぐらいのサイズが多いです。

これは水槽としてはかなり小型です。

おなべに少ない水を入れれば沸騰しやすいのと同じで、水槽も水の量が少ないと温まりやすく、冷めやすい環境になります。

このため水量の少ない金魚鉢は水温の変化が激しく、金魚が病気になりやすい環境になっているといえます。

 

水槽の水温を安定させるためにはヒーターが有効ですが、金魚鉢は構造上ヒーターが非常に入れにくいです。

水量的にも適合するヒーターが少ない上に、ヒーターは水流が必要なのでブクブクかろ過装置を入れる必要がありますが、先述した理由からブクブクなどは入れにくいのでヒーターも十分に機能しないことになります。

 

 

 

水換えが難しい

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水槽はどのような状況でも水換えが必要になります。

実際にはしなくても大丈夫ですが、それは特殊な環境の場合なので別な機会にご紹介します。

 

水換えは基本的に1/4~半分抜いて、塩素を抜いた水を入れなおすことになります。

問題は水温で、水温は先述したとおり魚の体調を左右する大きな要素のひとつです。

大きな水槽であれば残る水量が多いので水温の変化も少なく済みますが、金魚鉢の場合水量が少ないので、水温の変化も大きくなってしまいます。

 

ヒーターを使用してない常温管理の場合は水も汲み置いて塩素を抜いておくことで同じ水温になりますが、ハイポを使って用意する場合は水道水と飼育水の温度が大きく変わってしまうので注意が必要です。

 

 

無理じゃないけど面倒ごとが多い!

こんな感じで、金魚鉢で金魚を飼育するのは面倒で仕方が無いです

すべてカンペキに行えれば問題ないんですが、10年生きる魚をずっとこの管理するのは無理ですよね。

そもそも金魚は20cmぐらいに成長するので、金魚鉢では1年飼えればいいほうです。

 

実は金魚鉢で金魚を飼育する文化のもとは「夏場だけの短期飼育」だったのではと言われています。

夏に金魚の行商さんから購入して、夏が終わると死んでしまうという飼育方法だったとか。

簡単に言えば「夏のインテリア」で、生き物を大事にする現在の価値観では考えられないですよね。

つまり金魚鉢は元々金魚を元気に飼うという目的のものではなく、金魚の健康は度外視で見た目を重視したものであると言えますね。

 

金魚鉢は正直結構売れます。

なので金魚鉢で金魚を飼っている方も多いかと思います。

長期飼育できている方はなんとかバランスを保っているだけか、かなり熱帯魚飼育のセンスのある方だと思います。

 

 

どうしても金魚鉢で金魚を飼うなら

縁日で金魚を取って来てしまったけど、どうしても金魚鉢ぐらいしか置くスペースが無い。

もしくは見た目的にどうしても金魚鉢がいい!という方のために、なんとか金魚鉢で金魚を飼育する方法を考えてみましょう。

 

 

なるべく大きい金魚鉢を選ぼう!

市販されている金魚鉢は1L程度の小さなものが多いです。

水量は魚の健康と直結するので少なければ少ないほど飼育が難しくなります。

 

なので、同じ金魚鉢でもなるべく大きなものを選ぶことで少し飼育が楽になります。

よく流通しているもので、7L程度の金魚鉢があります。

 

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おしゃれなガラス製金魚鉢 太鼓鉢 大(7.6リットル) エンゼル 色揚げのおまけ付き

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吉田飼料さんの太鼓鉢(大)ですね。

これで小さな金魚1匹飼育できるイメージです。

 

コストを考えると、半額程度で水槽とブクブクのセットが購入できてしまうので、コスト重視ならやはり水槽をおすすめします。

 

 

5Lに1匹のルール

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ひとつの水槽に魚を多く入れれば多く入れるほど管理が大変になります。

というのも、酸素の消費量も激しく、水の汚れも多くなるからです。

 

なので、ひとつの指標として小赤(お祭り金魚のサイズ)は5Lに対して1匹を目安にしましょう。

10Lの水槽なら1匹、15Lなら3匹です。

飼育の感覚がわかってくればもう少し多く飼育することも可能です。

 

ただし、これはあくまで小さい金魚の場合。

金魚は水槽でも20cmぐらいまで成長するので、大きくなればその分大きな水槽が必要になります。

たくさんいたほうが見栄えはいいですが、後々のことを考えると少なければ少ないほうが賢明です。

 

 

餌はなるべく少なめに

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水槽内の汚れの元は餌です。

餌が腐ってアンモニア亜硝酸といった毒素が発生します。

アンモニア亜硝酸バクテリアが自然に分解してくれますが、金魚鉢ではこのバクテリアの働きを活性化させるのが難しいです。

なので、汚れの元になる餌の量を最小限にしてあげましょう。

 

5cm以下の小さな金魚1匹であれば、耳かき2杯分程度のごはんでも十分です。

もしそれでも食べ残すようであれば早めに取り除いてあげましょう。

 

 

直射日光が当たらない場所に置く

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小さい水槽は窓辺に置きたくなりますよね。

ただし、日光は急激に水温を上げる原因になり、夏場であれば40度を越すこともあります。

40度の水では金魚は生きていけません。

 

さらに、丸い金魚鉢は虫眼鏡のように日光を集めることがあります。

これが収れん火災の原因になることもあるので、窓辺に金魚鉢は絶対におかないようにしましょう。

 

 

 

 

 

正直ここまでやっても安心とはいえませんが、だいぶましになります。

 

もっと安心して金魚鉢をおきたいというわがままさんや、金魚鉢を買ったけど金魚が死んでしまい、また飼いたいと言う方もいるかもしれません。

実は、金魚鉢は金魚以外ならここまで難しく考えなくても魚を飼う事が出来るんです。

 

 

金魚鉢は金魚のものではない? 

実は、金魚鉢は金魚を飼おうとすると難しいだけで、金魚以外なら意外と簡単に飼えてしまうんです。

もはや名前負けしていますが、金魚以外もかわいいのでおすすめです。

というわけで、金魚鉢でも飼育しやすい生き物を一部ご紹介します!

 

グッピー

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グッピーはもうおなじみの熱帯魚ですよね。

実はグッピーは凄く丈夫な魚で、小さな金魚鉢でも十分飼育が可能です。

オスメスで入れていれば繁殖まで楽しめるかも?

 

メダカ

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金魚と並んでおなじみの淡水魚です。

水温だけ注意してあげれば比較的簡単に飼育することが出来ます。

こちらもマツモなどの水草を入れて、オスメスそろっていれば繁殖を楽しむことも可能です。

 

アカヒレ

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バリバリ最強No.1の丈夫なお魚です。

水が凍らなきゃ生きていけるほど環境に適応する能力が高いです。

値段も高くないですし、お子さんと一緒に育てたいならベスト!

 

ミナミヌマエビ

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グッピーやメダカ、アカヒレと同居させてもOKなカワイイやつ。

うちにも100匹ぐらいいて、まさにこの写真がうちの子達です。

コケや餌の食べ残しを処理してくれますし、魚に悪さもしにくいのでおすすめです。

買っても一匹50円程度ですが、綺麗な小川沼に住んでいることもあるので覗いてみては?

 

ベタ

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僕も大好きなベタ。

この写真もうちで増やした半年ぐらいの子です。知り合いにゆずってしまったんですが、結構いい色ですよね。

闘魚と呼ばれるほど気性が荒いので1匹でしか飼育できませんが、鮮やかな色と愛嬌のある動きで人気の高い熱帯魚です。

酸素を空気中から取り込める特殊な魚なので、エアレーションも必要ありませんし、丈夫なので水の量が少なくてもへっちゃらです。

ただし熱帯魚なので、冬場寒くなりすぎる場合は注意しましょう。

 

 

金魚鉢は金魚だけのものならず!

最初は金魚鉢に否定的な意見で入ってしまいましたが、個人的に金魚鉢は生き物に触れ合う間口を広げるすばらしい文化だと思います。

ただ金魚の飼育を重視すると難しい部分があります。

幅広い生き物を視野に入れるともっと飼いやすくなってくるので、いろいろな魚を検討して選んでみてはいかがでしょう?

 

 

 

 

金魚については、サテライトサイトでも飼育情報を準備中です。

徐々にページを充実させているので、ブックマークして気長にお待ちください。

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