【電気が】実際に体験して思い知った熱帯魚の地震対策【キモ】
土砂崩れの跡地。報道されている意外にもこういった土砂崩れは町中で見られます。
夢にも見ない大地震
9月6日、北海道を大きな地震が襲いました。
私の住んでいるエリアは震源地から数十キロ離れているにもかかわらず、震度5強の揺れがありました。
最初は震度3程度で、「おぉ、まあまあ揺れてるな」と思った次の瞬間、仕事用とプライベート用2つの携帯から緊急自信速報が鳴り響き、それを待たずして徐々に大きくなる激しい揺れに襲われました。
とっさに近くにあった60cm水槽を押さえましたが、大きな揺れで水が揺さぶられ、あたりはこぼれた水で水浸しに。
ライトやサーモにも水がかかり、ショートしては困るとコンセントを抜いて掃除している最中に停電し、ショートしようもなくなりました。
地震が収まってから1、2分程度の出来事です。
その後は真っ暗でどうしようもなく、最悪1ヶ月程度停電が続くという情報を聞いて当面の買出しへ行き、ショップにも顔を出してきました。
ショップも水槽什器が倒れるようなこともなく、商品棚がめちゃくちゃになるぐらいの被害で済みましたが、なぜか下水が逆流し、しばらくは生臭い匂いが充満しました。
幸い私の地域では当日には電気が復旧しましたが、ショップは翌日の夜復旧しその間の水槽管理に難儀しました。
今回の胆振東部、ついでに言えば私の故郷でもある厚真町には活断層があると言う話を聞いた事もなく、先の熊本も地震が起こらないとされていた地域です。
日本はどこで地震が起こってもおかしくないということを身をもって体験したので、今回はアクアリストができる地震への備えをご紹介します。
というほどたいそうなものではなく。実際に私がこうでしたよという体験記です。
基本が大事
道具には必ず説明書が付いています。親切な時代ですが、あまり読む人が少ないのも事実ですよね。
簡単に言えばこういう使い方しないと壊れるよという免責事項を書いてあるものでもあるわけですが、逆に言えばそのとおりに使えばトラブルは起こりにくいということでもあります。
今回の地震でも説明書どおりの使い方というのは大事なんだと実を持って体験しました。
まずは水槽台。
我が家ではGEXの上下2段に60cm水槽を置けるタイプの水槽台を使用していました。
上段はなみなみ水を張った60cm水槽で、下段はメダカをキープするための40cm水槽を置いていたのですがこれが間違い。
上段の60cm水槽は揺れて水がこぼれはしたものの、落ちるような兆候はありませんでした。
しかし下段の40cm水槽はガタガタと揺れ動き、天板がないタイプの水槽台なので水槽が溝に落ちて斜めになってしまいました。
大きく割れが起こることはなかったのですが、小さなヒビが入りおしゃかに。
説明書では60cm水槽意外置かないことを明記されていたので、守らなかった私の落ち度です。
次に水槽の下の滑り止めマット。
オールガラス水槽では、台のゆがみや異物による破損を防ぐためにクッション性のある滑り止めマットを敷くことになっています。
しかし古くから使っている水槽は滑り止めマットが劣化し、20cmキューブの水槽をテーブルに直置きしていました。
台の上には木板を敷き、異物は除去しておいていたので破損は起こらなかったのですが、グリップがまったくない状態だったので地震後においていた位置から30cm以上動いてしまうことに。
幸い落下はしなかったんですが、もう少し長い時間揺れているか、机が小さければ落ちていてもおかしくありませんでした。
これは2つとも説明書に明記してあることですし、もはや常識とされていることです。
ただこなれてしまい「まぁ大丈夫だべ」という慢心で今回リスクを背負う形になりました。
他にも、電源コード類を水槽より下に設置しないことなど、気にかけていなければ地震で事故に繋がる注意事項は多く書かれているので、この基本に忠実に器具を使用することでかなりリスクを減らせることは私の経験から言っても間違いありません。
日々の手入れ大事
今回は予想外に大きい地震で、部屋の中も倒れるものが多いほどでした。
水槽に関しては倒れそうなものは押さえたので事なきを得ましたが、問題は中身です。
かなり大きく揺さぶられたので水がかき回され、砂利にたまっていたスラッジが巻き上がってしまったのです。
言わずもがなスラッジには毒素や病原体がたまっているので、巻き上がるのは大きなリスクです。
しかし今回の地震は深夜のまだ暗い時間で、直後に停電してしまったためなにもできず。
その水槽に居たのが丈夫なスネークヘッドだったから事なきを得ましたが、小型魚だとその後のヒーター停止も合わさってどうなっていたかわかりません。
日ごろから綺麗に掃除していればこんなリスクを負うこともなかったので、日々の手入れは大事だなぁと痛感した出来事でした。
万が一の備えがほんとに活きた
あまりもしもの備えには備えないほうの私です。
あえてやらないというよりは、そんなことより目先の生活がいっぱいいっぱいだから。
そんな私が唯一備えていたのがハンドポンプ式のエアレーション。みんな大好きニチドウさんの商品ですね。
これも備えておいたわけではないんですが、今回の地震ではおおいに役立ちました。
我が家の停電は比較的早く復旧したのですが、それでも酸欠のリスクは大いにあります。
特に数日前に補充しためだか水槽は割れてしまいバケツに移しましたが過密気味だったため、明け方には水面でパクパクしはじめました。
そこでハンドポンプ式のエアレーションをひっぱりだして使い、なんとか難を逃れました。
経験のある皆さんならわかるとおり、実際には過密飼育しなければそこまで気にしなくていいところではあるんですが、不幸中の幸いで命を無駄にせず済みました。
実際このエアレーションは1.5Lのペットボトルを装備して出力を最弱にしても2時間程度で切れてしまうので、大きい水槽を持っている方や複数の水槽でエアレーションが必要な場合は電池式をおすすめします。
ただ、コンビニで真っ先に消えたのは電池なので、長期間頼るならばその電池も必要になりますが・・・。
意外だが赤虫は最後に使え
これ人間にも大事なところです。
電気が止まって真っ先に困るのはスマホでもなくテレビでもなく冷蔵庫です。
いつも何気なく使っていますが、冷蔵庫は食料を長期保存できる生物史上最大の発明でもあります。
ただこれも電気がなくなればただの大型クーラーボックスです。
これ真っ先に心配したのが冷凍赤虫で、万が一袋を閉め忘れたなんてことがあれば解けて汁が漏れ出したちまちすべての食材をだめにしてしまうわけです。
クリーン赤虫は雑菌類を除去してあるので人間が食べても大丈夫という説がありますが、もしそうであっても蚊のかゆみ成分は残っているので食べないほうが吉です。そもそもうちは消費量が多くてUVですらない安い赤虫です。
一応魚や動物たちの餌用のドロアに隔離してありますが、なかなか気が気じゃなかったです。
しかし実際にはこんな心配もなく、冷凍物は意外や意外ぜんぜん平気でした。
冷蔵庫自体の保冷能力が高いので、下手に開け閉めしなければ冷気がもれず、かつすでに冷凍されている食材が保冷剤になってぜんぜん解けなかったんです。
我が家は地震当日に復旧しましたが、友人宅では翌日でも平気だったとか。
もしあせって冷凍庫を開けたり閉めたりするとどんどん温度が上がってしまい、いずれ解けてしまっていたでしょう。
まぁ大地震のときに赤虫の心配をする人はいないでしょうが、人間の食材に関しても同じで、あまり冷凍庫は開け閉めしないように。
通電火災を甘く見るべからず
東日本大震災でも言われた事ですが、地震の直後すぐに家電製品をつけてはいけません。
これは通電火災と呼ばれる火災が起きる可能性があるからです。
ストーブが倒れている、地震でゆれた家具にコードが挟まる、場合によっては壁の中で配線が切れているという可能性があるからです。
これにプラスしてアクアリストは水槽周りに注意しなければいけません。
水槽が揺さぶられると水浸しになり、タップに水がかかったり機器に水がかかったりします。
まさに我が家でも危うくこの通電火災になりかけました。
というのもまさに水槽周りで、いったんコードは抜いておおよそ掃除はしてから通電したんですが蛍光灯のグローのあたりが発熱し、カバー部分のプラスチックが解けてしまったんです。
おそらく水をかぶって中まで侵食していたんでしょう。
近くにいたからよかったものの、目を離していたらと思うとぞっとします。
大きな地震があったらまずはブレーカーを落として無駄なコンセントを抜き、落ち着いたら配線周りを十分に確認したうえで、ブレーカーを上げてから一つ一つコンセントをつないでチェックしていきましょう。
ブレーカーを上げていっきに通電させて、一箇所なら対処できますがもし2箇所で火災が発生したら手に負えなくなります。
これは地震後のメディアでも言われていませんでしたが、通電火災防止ではブレーカーだけでなく「コンセントも抜くこと」が重要です。
いつなにがおこるかわからんよ
というわけで我が家で起こったトラブルはこんな感じです。
実家でも近縁の親戚には被害はありませんでした。
しかし遠縁では土砂崩れに巻き込まれた方がいたり、家が半壊した方もいます。
なんだかんだもう4ヶ月になりますが、震源地周辺、とくに震源地の厚真ではまだ元気にどうこうというレベルではない方も多いです。
実家の畑もたぶんもうやることはないでしょう。
正直身近にこういうことはおこるなどとは思ってもいなかったので、まったく被害がなかった僕も結構気がめいっています。
トップの写真は日々当たり前のように通る道で(なんなら今日も通りました)、そこが大きく崩れてやっと通れるように見繕われた状態です。(自衛隊や関係者の方には感謝しかありません)
地震の数時間後には通っていただろう場所なので、もしタイミングがずれていれば巻き込まれて大怪我、最悪死んだ可能性もありますし、比較的主要道路なのでもっと多くの方が犠牲になっていたと思います。
地震の数分前まで友達とラインで馬鹿話していた人間が、間違ったら死んでいた可能性すらあったわけです。
というほど突然やってくるのが地震です。
アクアリウムはすばらしい趣味ですし、僕もこりずに今後も続けていくつもりでもありますが、下手をすると無用な被害を出してしまうものでもあります。
今回の例はたいしたものではありませんが、少し間違えば大事故にもなっていただろうものでもあります。
あくまで一例なのでほかにももっともっと注意するべきポイントがあると思うので、時間があるときにでも少し水槽周りの防災にも気を使ってあげてみてくださいね。
もちろんご自身や家族が生き残るための防災もお忘れなく。食料は割と同にでもなりますが、モバイルバッテリーをいくつか用意するのと車をなるべく満タンにしておくだけでもだいぶ違いますよ。