ベタに大切な筋トレストレッチ!プロが教えるベタのフレアリングの方法と、フレアリングさせるのメリット
ベタは闘魚とも呼ばれ、先頭本能の強い魚です。
大きなヒレを広げて、威嚇する姿は妖艶でとても魅力的です。
この威嚇する姿を「フレアリング」と呼びます。
フレアリングは魅力的なだけでなく、ベタにとって重要な意味も持っています。
今回は、ベタのフレアリングの方法と、フレアリングをさせるメリットや注意点についてご紹介します。
ベタの世話に必ず必要なフレアリング
ベタには様々な色があり、様々なヒレの形があります。
最もひれや色の特徴がわかりやすいのが「フレアリング」をしているときです。
フレアリングはベタの威嚇行動で、体を大きく見せるためにヒレを全開にしてエラも大きく広げます。
カタログや通販の写真にあるのは、たいていこのフレアリング中の様子です。
このフレアリングは人間を楽しめるためだけではなく、ベタの状態を保つために必要なお世話のひとつです。
フレアリングの方法
フレアリングの方法は難しいものではありません。
家にあるもので簡単に行うことができます。
鏡を見せる方法
もっとも簡単なフレアリングの方法は、水槽越しに鏡を見せる方法です。
これによって鏡に映った自分の姿を敵だと勘違いし、フレアリングして威嚇します。
ベタを単体で飼育している場合にはこの方法が一番手軽です。
別のベタを見せる方法
鏡を見せるのは別なベタが自分のテリトリーにはいってきたと思い込むからです。
これは水槽越しに2匹を向かい合わせても同じなので、複数飼育しているなら実際にベタ同士でフレアリングさせることも可能です。
間違っても同じ水槽に2匹入れないようにしましょう。フレアリングだけでなくつつき合ってデスマッチが始まります。
フレアリングさせる時間
フレアリングはベタが命を懸けてするものなので、非常に体力を消耗します。
このため長時間すると、体力を消費しすぎて弱ってしまうこともあります。
固体によって違うので決まった時間はありませんが、私は成魚の場合は長くても5分程度で抑えます。
ハーフムーン系はヒレが切れやすいので、1分程度でやめることもあります。
生後2ヶ月程度の稚魚の場合は10分程度させることもありますが、あまり興奮させるとビンなどに体をぶつけて怪我をする可能性もあるので様子を見て時間を変えています。
フレアリングさせるメリット
フレアリングはさせると美しいだけでなく、状態を保ちます。
このためフレアリングはさせるべきというよりは、かならずするべき世話のひとつともいえます。
その理由は以下のとおりです。
ひれの形を保つ
改良ベタの様々なヒレは、長い年月をかけて固定化したものです。
つまり本来の姿とは違い、体には負担が出ます。
このため、トレーニングをしなければすぐになまってしまいます。
つまりフレアリングはベタの筋トレであり、ストレッチでもあるのです。
フレアリングを怠ればヒレの筋肉が固まってしまい、まったく開かなくなってしまうこともあります。
とくに成長途中のベタはフレアリングによって、成魚になったときの体格がまったく変わります。
稚魚は毎日複数回、成魚はできれば1日1回はフレアリングでストレッチさせてあげましょう。
色を保つ
ベタのフレアリングは、体色を保つ効果もあります。
この原理はわかりませんが、おそらく血行をよくすることで体色を濃くすると考えられます。
フレアリングしなくなったベタは若くても体色が落ちてしまうので、なんらかの因果関係がある可能性が高いです。
求愛行動の練習になり繁殖を成功させる
ベタのフレアリングは、求愛行動でもあります。
ただし、威嚇時の攻撃的な動きではなく、自分を観てもらえるようにユラユラと体をくねらせます。
普段からフレアリングさせることで繁殖時もスムーズにフレアリングできるので、繁殖を考えているベタにはこまめにフレアリングさせておくといいでしょう。
便秘防止
ベタは便秘になりやすい魚です。
人間であればそこまで重く考えない症状ですが、ベタの場合は便秘のままなにもしないと死んでしまうことも少なくありません。
フレアリングさせて体を激しく動かすことで、便秘を予防する効果があります。
もちろん便秘になりにくい餌を与えることも重要なので、全体的な管理と合わせて便秘を予防してあげましょう。
泡巣を作るようになる
ベタの水槽に、気づいたらたくさんの泡が付いていることがあります。
これは泡巣と呼ばれるもので、ベタの繁殖に必須です。
これはベタのテリトリーを表すものでもあるので、フレアリングさせて外敵を意識させると、テリトリーを主張するために泡巣を作ることがあります。
繁殖を考えているが泡巣を作らないという場合には、こまめにフレアリングさせてあげるときっかけになることがあります。
フレアリングさせるときの注意
フレアリングしている姿は愛らしく妖艶ですが、本人たちには死活問題です。
やりすぎることは負担になり、リスクもあります。
ヒレが切れてしまうリスク
フレアリングをさせすぎると、ヒレの条(骨の部分)が開きすぎて、ヒレが裂けてしまうことがあります。
また流木などが入っていると、フレアリングで暴れたときに引っかかって裂いてしまうリスクもあります。
このためベタの水槽にはなるべくレイアウトを入れず、フレアリングをするときにはなるべく短い時間で終わらせるといいでしょう。
やりすぎると外敵に慣れてしまう
フレアリングを長時間続けたり、ずっと隣にベタが見える状況が続くと、外敵に慣れてフレアリングしなくなります。
このため、やはりフレアリングは短時間で終わらせることが重要です。
フレアリングしないベタは?
ショップでずっと隣のベタが見える状況にいたり、家で適当にフレアリングさせていると、フレアリングしないベタになってしまいます。
先に述べたとおり、フレアリングしないとヒレが開かなくなったり、便秘になりやすくなったりします。
フレアリングをしない場合は、早めに対処する必要があります。
しばらく隔離する
まず行うべきは、一人でいさせることです。
これで回りになにかいる環境を忘れさせ、本能を思い出させます。
これは人間に対しても同じで、ボトルの周りを何かで囲ったりして完全に隔離し、餌を与えるとき以外は姿を見せないようにしましょう。
数日に1度フレアリングを試し、1週間変化がなければ次の方法に移ります。
無害な魚と同居させる
お店で隣に外敵が見え続けたベタが、フレアリングをしなくなる原因のひとつは、見える外敵が自分に襲ってくることが無いと学習してしまうからです。
なので、ベタに危害を加えない魚を同居させ、予想外に接近される経験をさせると警戒心が生まれます。
その後、鏡などを見せると、フレアリングするようになります。
同居させる魚は、出したり入れたりしたときの水質の変化に強く、ベタに襲い掛からない魚です。
おすすめはアカヒレあたりです。
メスを同じ水槽に入れる
ベタは威嚇だけでなく、繁殖時もフレアリングします。
威嚇のためのフレアリングを忘れてしまったベタも、メスを入れると繁殖のためのフレアリングをする場合があります。
もちろんいきなり入れてしまうと攻撃してメスを傷つける、気が強い雌だとオスを傷つける可能性もあります。
フレアリングを誘発させるなら、直接水槽にいれず、穴を開けて口を切ったペットボトルなどにメスを入れて、オスの水槽に入れるといいでしょう。
ヒレが固着してしまっている場合は
あまりに長い時間フレアリングせずに、ヒレが固着してしまっている固体は復活しない場合もあります。
そういった固体は上手く泳げず、酸素を吸いにいったり、餌をとりに行ったりするのも困難です。
こういった固体の場合、なるべく水位を下げて飼育してあげましょう。
水位が低いと水量が少なくなり、水質が落ちたり水温変化も激しくなるので注意して管理してあげてくださいね。
というわけで
ベタはフレアリングひとつとってもこれだけ奥深い魚です。
見た目の美しさを理由にフレアリングさせるのも良いですが、少しこだわってベタの体調管理のためのフレアリングも重視してあげてくださいね。