色は予想外にいろいろ!?ベタの繁殖で掛け合わせを考えるポイントを実例とともにご紹介
現在ベタの繁殖に挑戦するにあたって、何匹か新しい子をお迎えしてきました。
ベタを繁殖させたいと思うのは、ベタの美しい繁殖行動を見てみたいという動機や、繁殖させて沢山飼育したいなどいろいろありますよね。
私があらためて繁殖させようと思ったのは「この素晴らしい固体を累代して残したい」という動機から。
しかし、現実にはそんなに簡単にいくものではありません。
とくに色はまったくの予想外が当たり前で、狙った色を出すなんてブリーダーでも困難です。
今回ピックアップしてきた子たちも、こうなってくれたらいいなという色はあるものの、そうなるとは限らないどころか、たぶん予想通りの色は生まれないものと思います。
というわけで今回は、私が累代させてきた中での経験からベタの掛け合わせで色がどうなるかをご紹介していこうと思います。
色を思い通りに出すのはほぼ不可能
いきなり結論ですが、ベタの色を繁殖で完璧に予測するのはまず不可能です。
たとえばがんばって探して買ったペアで繁殖させても、親と同じ色が出るのは半分以下。
逆に言えば、少ない個体から様々な色が楽しめると思えればお得でもありますよね。
私は変に画策しないで、気に入ったベタの子供を残したいという意図で繁殖させて、カラーは二の次。出た色を楽しんでいます。
では、なぜ思い通りの色が出ないのか簡単に説明していきます。
カラー・パターンがめちゃくちゃ多い
「ベタって何色の魚?」といわれて答えられないぐらい色が多い魚ですよね。
表現できない色は無いなんていわれています。
で、それは単純な赤青黄白黒なんてもんではなく、もっともっと細かくあります。
たとえば青系を例にとると、
スチールブルー
ロイヤルブルー
グリーン
など。
ベタはもちろん青色だけではなく、赤や黄色や黒、オレンジや白、金属光沢する固体などありますよね。
その色は4層から成っていて、そのどの層がどう見えているかでその固体の色が決まるというわけです。
ちなみに遺伝子の組み合わせで言えば2万通り以上あったはず。3万だったかしら。
発現している色の種類自体はさほど多くないですが、正直その遺伝がどういう関係で色に現れているのか私も正確にはわかっていません。いい書籍があればいいんですが・・・。
カラーは固定されているわけではない
ベタは血統書があるわけではありません。高級店だとついてくる場合もあるのかな?
つまりは、その固体がどこでどう混ざってこの色になったか確証がないんです。
突然ですが、私は祖父似です。
顔つきはもちろん、手先の器用さや思考パターンがとても似てる。
なんなら手の形も似ています。
単純に偶然かもしれませんが、こういうことはベタにも起こりえるんです。
たとえば私が過去に繁殖させた固体で、赤×赤で1匹だけ黒が出たことがあります。
実は黒に関しても数種類あり突然変異ででることもあるので、おそらくですが、どちらかの親に黒が掛け合わされていて、それが突如現れたのではないか。と思います。
隔世遺伝とも言いますね。
人間だとまれですが、ベタは生まれる数が多く、わかりやすく色に表れるので、こういうことが頻繁に起こります。
「現状この色なんだからこの色の系統なんだろう」というのはたしかに正しいんですが、実はそうとも限りません。
ベタファームの繁殖方法は本当に様々で、個人が趣味で水槽でやるように丁寧な繁殖を大きいボトルで行う場合もありますが、安く流通しているベタに関してはそうとも限らないんです。
私が見たファームだと、人間が入れそうな大きな水がめに水草をわっさり入れて、なんと適当にオスメス複数入れて勝手に増えてくださいスタイルを取っていることがありました。
日本のセオリーだと考えられませんよね。
でもこれだとペアリングの手間をそっくりそのまま省けますし、いい個体だけ流通させれば効率だけを考えると理にかなっています。
もちろんすべてがそうではないんですが、繁殖においては見えている色が確定されているとは限らないということです。
じゃあ結局どうすればいいのよ
いきなり大否定から入ってしまいましたが、じゃあ実際に繁殖させるならどう掛け合わせたらいいのかを考えてみましょう。
色は無視
繁殖させたいだけならこれに尽きます。
ベタは人間みたいに肌の色で差別しないので、好きな色で掛け合わせることが可能です。
なんならひれの形も関係ありません。
最後に例を出しますが、ハーフムーンとクラウンなどの繁殖もぜんぜん可能です。
まったく違う色を掛け合わせても、数匹親と似た個体が生まれることも多いです。
唯一メラノブラックだけは注意が必要です。
というのもメラノブラックのメスには繁殖能力が無いからです。
基本的には流通しないので問題ありません。
同系色で繁殖
これが一般的かと思いますが、親の色が近いペアで繁殖させる。
先に述べたとおり、同じ色にしても様々な色があり、遺伝的にはまったく違う場合があります。強弱の色系統もありますね。
このペアだと、先祖のカラーが出たときにわかり易いというメリットもありますね。
まれに、同じ色を掛け合わせると打ち消しあうのか白や透明になることがあります。
ドッグブリーダーは同じ色の子を合わせないという話を聞いたことがあるので、なんかしらの因果関係があるんでしょうね。
F1同士で繁殖
熱帯魚やエビなどにはまっていろいろ調べると、「F1」や「F2」 というなぞの記号に突き当たりますよね。
ちなみに昆虫界隈でもよく使われます。
これ何かというと、「F」はラテン語のFiliusの頭文字で、簡単に言えば子の意味です。
ちなみにPはParensで親という意味です。
F1はというと、1世代目の子供という意味。
じゃあF2はというと、その子供同士の子供ということになります。
難しい言葉で言えば同胎兄妹交配ですね。
F1、F2固体にお店で買ってきた別な固体を掛け合わせると、そこからまたF1、F2と数字がリセットされます。
これのメリットはというと、より体格的な特徴やカラーが出現しやすいというメリットがあります。
赤×赤の固体でいえば、F1世代では赤を中心に、隔世遺伝で青やら黄色やら白やらが混ざることがあります。
で、F2世代になると、さらに赤の固体が増え、混雑した色が出にくくなるというわけです。
ベタファームでも、F固体をしっかり管理していてもそれを流通させることは少なく、ペアでもF同士ではないことが多いです。
ファームから直接買い付けの場合はF1の可能性もありますが、露天買い付けだとたいてい近い色を仕入れてペアで流通させる形が多くなっています。
このため、たとえば知り合いが増やしたのを譲り受けたり、お店で繁殖した固体などかなり限定的なシチュエーションですが、F1同士、F2同士の繁殖なら、カラーや体格はその子供にも発現しやすくなります。
実際の例
これは私が始めて繁殖した固体で、うれしくてバシバシ写真を撮っていたので奇跡的に残っていました。
もう10年近く前ですかね。
ハーフサンを作りたくて、ハーフムーン♂×クラウン♀でなるんじゃないかと安直に繁殖させたペアです。
メスは見てのとおりグリーンで、オスはグリーンのボディにひれが赤系だったと思います。
で、結果はというと
こんな感じ。もちろんこれだけではないですし、メスもいて比率は♂4:6♀ぐらいでした。全部で20匹ちょっとだったかな。
ほぼすべてクラウンテールですね。
ハーフムーンはメスも含めていなかったと思います。
逆に、カラーは大半がオスに似ました。
私の環境だとこれ以外のペアでもカラーはオスからの遺伝が強かったです。
今回は別種でのペアですが、同種同士でもひれの形はメスからの遺伝が強く、良い型を出すならメスの重要度が高い気がします。
ボディは両親とも白ではないんですが、白い固体が多いですね。
これはどのペアにも起こりえることで、体が白くなったりヒレまで真っ白になったり透明になったりはよくあります。
親同士が同系色だったときに起こりやすいので、打ち消しあうような作用が働いているのかと思います。
特に4枚目の写真の子がすごくきれいに育ってくれて気に入っていたんですが、どこ探してもその写真が無く・・・。
とりあえずいえることはオス似、メス似以外にも様々なパターンが出現するということ。
このペアだととんでもないカラーはいなかったですが、まれに見たことも無いような色が出ることも。そういう固体がでても責任が持てるなら繁殖させてもいいかなとおもいます。
というわけで
経験則だけで超ざっくりな情報でしたが、なにかの参考になるのかな・・・?
数十ペア繁殖させた結果は、もう正直
わけわかめです。
古いですがそれはおいといて
もうお手上げです。
何をどうしても突然違う色でるし、完璧だと思ったペアの子供が白くなることもあるし、数年の繁殖家経験からは何もつかめませんでした。
タイのブリーダーさんも、「ほしい色があるなら買ったほうが早いぞ」と言うほど。
結局私の行き着いた結論は、最初に言ったとおり出た色を楽しむ。
これに尽きます。
遺伝と色別の強さを考えればおおよその予想はできますが、それも競馬の予想並みに運否天賦です。
つまり確率は上げられるけど、そうなるとは限らないということです。
改良や固定化を目的とするのでも無ければ、出た色を楽しむ気概で楽しむといいかなと思います。
というわけでベタの掛け合わせに関してでした。
理解していても文章にすると頭が痛くなるので、細かい遺伝の話はまた別の機会に。
こちら別の機会。
yasasiinettaigyosan.hatenablog.com