奥深すぎてお手上げ!?狙う色があるなら繁殖前に確認したいベタの遺伝のお話
現在ベタの繁殖に挑戦しているわたしですが、残念ながらいまのところ産卵にいたらず。
メスが未熟だったりオスが巻かなかったりメスがやるきなかったりと、どうにも相性のいいいいペアが見つからず、稚魚のまえに親候補がどんどん増えていっています。
みんな可愛すぎて繁殖でぼろぼろにしたくないとすら思っちゃいますね。
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で、その繁殖させる固体の掛け合わせですが、基本的なことは以前お話しましたね。
長くなりそうだったので、一番大切な遺伝のお話をすっとばしたので、何回かシリーズに分けて解説していこうと思います。
今回はごくさわりの部分について解説していきます。
ベタの色はなぜ様々あるの?
ベタって本当にいろいろな色がありますよね。
同じ色にしても、強弱でグラデーションにもなるので、特定の色が無いといっても過言ではありません。
その色がどうなっているのかというと、単純に特定の色があるというわけではなく、4層の重なりによって表現されています。
ベタの色は、それぞれ出せる色の決まった細胞の層が重なっています。
その4層それぞれの発色があり、透けてその下が見えることでそのベタの色を表しているというわけです。
薄い色が重なって発色していることもありますね。
それぞれどの色が出るのか解説しましょう。
虹色細胞
一番上の層は、メタリックやドラゴンといわれる金属光沢を出したり、ブルー系の色を出したりする層です。
黒色細胞
二層目はブラックを出す細胞です。
ブラックも数種類あり、そのどれかがこの層に出現する可能性があります。
赤色細胞
3層目はレッド系を出す細胞です。
赤もなん種類かあり、そのどれかがこの層出現する可能性があります。
薄く出現することによって、淡いオレンジなどの発色も助けます。
黄色細胞
一番下にあるのが黄色を出す細胞です。
黄色のベタにあまり造詣が深くないので詳しくはわからず。
レイヤーを考えてペアリングしよう
4層の細胞によって色が変わるということは、たとえば「赤+青=紫」なんて簡単な話ではないわけです。
パープル系のベタもいますが、濃い紫色の固体っていまのところ居ないですよね。
これは赤色細胞が赤すぎると薄い青が赤に打ち消され、青色細胞が強すぎると薄い赤が打ち消されてしまうから。
このため紫を表現するベタは、淡いラベンダーのような紫が多くなり、ヒレなどに赤、青が出やすいと想像できますね。
ここにブラックを掛け合わせるとどうでしょう。
黒が出現すると青色の層と赤色の層を隔てて、青色も見えなくなるので、黒くなってしまいます。
つまりキャンディやマーブルをあわせるときに、出ているカラーより上の層に色が出てしまうと、下の層のマーブルが見えなくなってしまうというわけです。
というあくまで予想なわけですが、色相が重なって生まれているというのだけは確かなので、私は掛け合わせるときにこのレイヤーを重視して掛け合わせています。
つまり、たとえば赤と青のマーブルを出したいときは、赤単に、青斑を合わせるということです。
これ逆に青単に赤斑をあわせると青単になりやすいということです。
まあ実際には黒っぽくなるんですが、それはまた別のお話。
しかし、実際のブリーディングではここまで正確に予測できるわけではありません。
ベタファームの人にこの話しても「勘でやってるからわからんし、どうせ考えても無駄」っていわれました。
ただいろいろ有意義なお話を聞けたので、そのときのお話はいずれコラムにでもしようと思います。
話を戻して、では予測できない理由は?
メンデルの法則覚えてる?
中学校の授業で出てきたと思いますが、子への遺伝はメンデルの法則で現れます。
もともと植物の品種改良からヒントを得た法則ですね。
これは魚にも人間にも当てはまるもので、もちろんベタのカラーにも当てはまります。
まず重要になるのが、「優劣の法則」です。
遺伝子には優性(顕性)と劣性(潜性)があり、合わさって2つの因子を持っている場合、優性の形質が出現するという法則。
優性が2つそろっていれば優性しか現れません。
逆に、劣性が2つあれば劣性が現れるというわけ。
たとえば、
タカシくんはコカコーラが大好きです。(優性)
ペプシコーラをあえて選ぶことはありません。(劣性)
冷蔵庫にコカコーラとペプシコーラが1本ずつ入っていたとき、タカシくんはかならずコカコーラを飲みます。(優性が現れる)
コカコーラが2本入っていれば間違いなくコカコーラを飲みます。(優性が現れる)
もしペプシコーラが2本入っていれば、ペプシコーラを飲みます。(劣性が現れる)
という具合です。
わかり易いたとえなのかよくわかりませんし、なんかサントリーに申し訳ない気もしますが、私もタカシくんと同じです。(?)
ペプシゴールドは好きですが(聞いていない)
で、こんな図みたことありますよね。
これはパネットの方形といって、遺伝を図にしたものです。
Aが優性、aが劣性です。
AAとAaで優性が現れるので、Aとaを掛け合わせても、結構な確立で優性が現れることがわかります。
ちなみに優れている、劣っているという話ではなく、現れる、現れないの話です。
仮にそうなってしまうと、劣性遺伝のハーフムーン より、優性遺伝のベールテールのほうが優れているという話になってしまいますが、そういうわけではありませんよね。
もっといえば、人間の耳垢は湿っているほうが優性遺伝らしいですが、べつに湿っているから優れているとかいうことはないですよね。
関係ないですが、コカコーラよりペプシコーラが劣っているというわけでもないです。
つまり優劣を決めるという意味ではないんです。
このため最近では優性・劣性ではなく、顕性・潜性という表現になっています。
ベタのカラー別優劣
ではベタのカラー別優劣をといきたいところですが、これはまた次回にしましょう。
というのも、単純な優劣の話ではなくなってしまうから。
さすがに5000文字超えると読むほうも書くほうもだれるので、この下に記事のリンクがあればとてつもなく暇で気が向いたということで。
なぜ予測不可能なのか
さて、ではなぜここまでわかっていて予測できないのかといいますと。
大きな理由が2つあります。
隔世遺伝が起こる
簡単に言えば、いわゆるおじいちゃん似、おばあちゃん似というやつです。
メンデルの法則で、劣性遺伝は持っていても現れないということがわかりましたよね。
でも現れないだけで、劣性遺伝を受け継いでいるのは確かです。
つまり、その子供に子供ができたとき、掛け合わせ次第で隠れていた劣性遺伝が発現する可能性があるというわけです。
ベタにおいては色でわかりやすく現れるので、この隔世遺伝がとてもわかりやすく出てきます。
ベタのカラーはしっかり確立した血統があるわけではないので、どこかで劣性遺伝を受け継いでいるといって間違いないでしょう。
逆に、その固体の出現しているカラーが劣性の場合、それは次世代で優性と掛け合わせた場合消えてしまう可能性が非常に高くなります。
遺伝子の組み合わせパターンがめちゃくちゃある
今回はわかりやすく優性と劣性だけであらわしましたが、実際にはもっともっともっともっと様々なパターンがあります。
四層にそれぞれ様々な色が現れているということから、多いということは予想できますが、その数は2万以上、3万通り以上といわれています。(もしかすると体格やヒレの形も合わせてかもしれませんが)
このパターンすべての優劣を調べるのは無理ですよね。
優劣を調べたところでどれが優性でどれが劣性、優性同士でどちらが完全優性なのかなど、考えなければならないことは山ほどあります。
そもそもどの遺伝子を受け継いでいるかわからないので、実質確実に予想するのは無理というわけです。
つまりは
最終的な結論を言えば、見えている色同士掛け合わせて、そうなってくれることを願うしかわれわれにできることはないということです。
以前お話しした子供同士の子供、F2,F3個体は遺伝の確証がある程度あるのでより確率をあげることはできますが。
歴戦のブリーダーさんも大体運だというだから間違いないでしょう。
ファームのブリーダーさんいわく、「ビンの数がファームの強さだ」とのこと。
つまり予想してもしょうがないから、作出数で勝負するんだということですね。
より多く自家繁殖させれば遺伝がある程度わかっている個体を掛け合わせられるので、より優良個体を作出しやすくなるというわけです。
とはいえ、見えているカラーがレイヤーになっていることは間違いないので、そこだけ意識するのが少しでも確立をあげる鍵になりそうです。
実際、ここを無視してしまうとたいていめちゃくちゃな色が生まれたり、どちらかの親に依存した色になってしまいます。
これは数ペア繁殖させた後データとしてまたアップできればと思いますが、このレイヤーと同時に、どちらの親の色が出やすいかという問題もあります。
経験上、カラーは父親から受け継ぎやすく、ヒレはメスから受け継ぎやすいです。
購入したメスの血統のヒレはわからないので、結構運否天賦ですよね。
というわけでざっくりでしたが、遺伝的なカラーのお話でした。
これまで私が繁殖させたのは十数ペアとまだまだデータが足りないですし、あまり頭のいいほうでもないのでどこか間違っている情報があればすみません。ご理解ください。
機会があれば、次はヒレのお話もできればと思います。
それではまた次回ノシ