優しい熱帯魚さん|飼育記録から飼い方まで

熱帯魚屋さんが熱帯魚の買い方をれくちゃーするブログです

皿式?エアレーション?ベタ稚魚の必須餌「ブラインシュリンプ」の孵化方法と殻分離機の作り方【DIY】

ベタの稚魚が孵化して4,5日経ったら、必ず与えたいのがブラインシュリンプ

ベタの稚魚は動くものしか食べないので、面倒ですが成長率を重視するなら必ず用意しなければいけないものです。

効率よく与えるならいろいろコツがあり、手間をかけた分稚魚の成長率・生存率が上がります。

というわけで今回はブラインシュリンプのわかせ方から、ちょっとマイナーな飼育方法までご紹介します。

 

 

 

 

 

栄養価抜群のブラインシュリンプ

f:id:charars:20190331022351j:plain

ブラインシュリンプアルテミアという小型の甲殻類です。

かつてシーモンキーという名前で大流行し、今でもニチドウさんから飼育用で商品化されていますね。ジュラ伝説だったかな?

 

これ鑑賞魚用として一般的な餌で、とくに稚魚の餌としてとても有効です。

たんぱく質が豊富で、ブラインシュリンプを与えるのと与えないのではまったく成長率が違います。

ベタの稚魚においては生後4、5日あたりから、1ヶ月ぐらいまで与える必須の餌です。

豆知識的にいうと脂質は少なめなので、稚魚が大きくなったら早めに脂質が多い餌に切り替えることをおすすめします。

 

袋に乾燥した卵が入っていて、海水(塩水)に入れると20時間程度で孵化しはじめます。

卵は適切に管理すれば数年もつので「耐久卵」と呼ばれています。ミジンコなども同じですね。

 

まずは沸かせ方のポイントについて解説します。

 

 

ブラインシュリンプの沸かせ方

といっても説明書どおりで、大してやることもありません。

 

塩水の用意

f:id:charars:20190331022546j:plain

まず塩水を用意しましょう。

餌用なら海水の元でなくて全然OKです。味のついていないただの塩を用意しましょう。我が家はダイソーで売っている荒塩です。

 

それを、1Lに対して20~30g入れて混ぜましょう。

ここは浸透圧の関係なので、そこまで厳密に計らなくてOKです。

パッケージに指定されている場合はそれから大きくはなれないようにしたほうが吉。

産地で微妙に塩分濃度が違うそうです。

 

ブラインシュリンプエッグを入れる

f:id:charars:20190331022704j:plain

水が出来上がったら、ブラインシュリンプの卵を入れましょう。

この砂みたいなのがブラインシュリンプの卵です。

量は稚魚の数に応じてお任せしますが、私は生後7日のベタ100匹程度にたいしてみみかき4杯分をわかせています。

朝夜1日2回与えるので、それを時間差で2つ沸かせています。

あげすぎに注意してこまめに与えたほうが稚魚が成長しやすいです。

 

24時間放置

f:id:charars:20190328182751j:plain

あとはある程度水温が保てる場所で20時間ぐらい放置すれば、ぼちぼち孵化し始めます。

薄いオレンジ色のミジンコみたいなものがビヨビヨ泳いでいるでしょう。

 

水温は最低でも21度以上あるといいですね。加温している水槽があればそこに湯煎のような形でおいておきましょう。

ヒーターに近すぎると茹で上がってしまうので注意。

 

だいたい24時間でほぼ孵化する卵はすべて孵化します。

 

ブラインシュリンプの採取

f:id:charars:20190331022824j:plain

そのままドバット入れると殻まで入ってしまうので、孵化したブラインを分離します。

殻は分解されにくいので、なるべく入れないほうがいいですね。

ブラインは光に集まってくるので、ライトをあてて5分も待てば集まってきます。

水流があると集まれないので、あらかじめエアレーションを切って水を落ち着かせておくといいでしょう。

それをスポイトで吸い取ります。

 

淡水魚は塩抜きしよう

f:id:charars:20190331022915j:plain

海水魚の稚魚やタツノオトシゴの餌に使う場合はそのまま与えてもOKですが、ベタやめだか、金魚など淡水魚の稚魚に与えるときには塩抜きしましょう。

ブラインの孵化水で塩分濃度があがってしまうので、長い間水換えできない稚魚の水槽だと飼育水の塩分濃度が気になります。

 

我が家ではコーヒーフィルターをコップにつけて、そこにブラインを入れます。

だいたい水が切れたら、そこに塩素を抜いた水、もしくは稚魚水槽からとった水を入れてまた水を切ります。

だいたい2回ほどやったら、最後にまた水を入れてスポイトで吸い取り、稚魚に与えます。

 

卵の保管は冷蔵庫で

卵は耐久卵といわれとても長持ちしますが、とはいえ管理が適当だと孵化率がどんどん下がっていきます。

説明書には「冷暗所で保管」と書いてありますが、簡単に言えば冷蔵庫がベストですね。

私は1箱を半年ぐらいかけて消費しますが、冷蔵庫で保管すれば開封後も半年はもってくれます。

孵化率は悪くなるので、なるべく早めに与えたいところではあります。

 

 

 

 

皿式ってなに?

最近ブラインをわかせる方法として、皿式という方法が一般的です。

簡単に言えば皿のように浅い容器に、水を薄く張ってブラインの卵を入れる方法です。

もちろん皿でなくても、面積が広い容器に少量の水を入れてもOKです。

少量のブラインであればこの方が効率的で手間もかからない方法ですね。

 

皿式のメリットは?

皿式のメリットは、方法がシンプルなことでしょう。

一般にブラインの沸かせ方はエアレーションしなければならないとなっているので、その手間が不要です。

周りに塩水が飛び散らないので、置き場所にも困りません。

 

皿式のデメリットは?

皿式も完璧ではなく、私はエアレーションをかける方法を推奨します。

というのも、皿式の場合少量しか孵化させられないからです。

 

ブラインは卵を割って出てきますが、エアレーションせずに孵化させると卵が重なっているところで生まれたブラインがなかなか出てこられず、死んでしまうこともあるからです。

殻をはがしてあげる意味合いでも、水はまわしたほうがいいですね。

 

このため、皿式は卵が重ならない程度の少量のみで効率的な方法だといえます。

逆に言えば器が大きければ、エアレーションしなくても孵化率は上がるということですね。

 

酸素の飽和量に関しては、相当な量孵化させない限りは気にしなくて大丈夫です。

水面から自然と浸透してくる酸素で十分です。

 

 

殻の分離機を作ってみよう

ブラインシュリンプを与えることを考えると億劫なのが殻の分離です。

これどんどん水槽内に溜まって、最後に水槽を洗うときにも壁面にへばりついて厄介ですし、フィルターにも挟まってスポンジフィルターだと買い換えることにもなります。

 

ライトを当てるだけでもだいぶ取り除けますが少し吸ってしまうので、長期あたえるとそれですら邪魔なので分離機を自作してみました。

 

積み重ねボックスとPPボードで自作

f:id:charars:20190331023000j:plain

今回もみんなだいすき百円ショップで買ってきました。

まずは積み重ねボックス。あえて不透明にしました。

次にしきりに使うPPボードです。

 

f:id:charars:20190331023048j:plain

PPボードを積み重ねボックスの幅に合わせてカット。 

そして穴を開けます。もちろん丸じゃなくてOKです。

底から7割ぐらいの高さにあけましょう。

最低でも真ん中に。下や上では意味がなくなります。

 

f:id:charars:20190331023140j:plain

それを積み重ねボックスに接着します。今回もグルーガンで。

 

あとは水を入れて、卵を1つの部屋だけに入れます。

方法としては皿式限定なので、卵は少量入れるようにします。

 

f:id:charars:20190331023946p:plain

あとは孵化した後、卵を入れていない部屋からライトで照らせば、生まれたブラインだけが片側の部屋に移動するという具合です。

これによってほぼ殻を水槽内に持ち込まないようにできますね。

理想を言えばエアレーションしたいので、穴に蓋できるように後日改良したいところです。

 

 

ブラインシュリンプの寿命は?

ブラインシュリンプの寿命には2つの意味があります。

ひとつは死ぬまでの寿命。もうひとつはいつまで与えられるかという寿命です。

 

死ぬまでの寿命

なかなか餌用だと生きながらえませんが、しっかり飼育すれば2ヶ月は生きています。

飼育方法は別記しますが、とりきれなかったブラインを飼育するのもなかなか面白いです。

 

餌としての寿命

ブラインも生きているので、どんどんエネルギーを消費していきます。

私は生まれてから6時間以内に与えるようにしています。

12時間以上経つと、体内に溜め込んでいるエネルギーを使い果たして餌としてほとんど機能しないだけでなく、死にやすく稚魚水槽の水質悪化を招くからです。

 

ある程度大きくしてから与えたい場合は、飼育する必要があります。

 

 

ブラインシュリンプの飼育方法

餌用として孵化させるかたには興味ない部分かもしれませんが、後学のために解説しておきます。

ブラインシュリンプの飼育自体は難しくありません。

 

まず1L以上の容器を用意しましょう。

そこに孵化させるときと同じ塩水を用意します。

できれば弱いエアレーションをしてあげましょう。

1日1回、ほんの少量のイースト菌を与えましょう。

 

やることといえばこのぐらいで、1ヶ月もすれば成体になってくれます。

エアレーションは匹数が多い場合にしてあげます。ペットボトルなど口の狭い容器の場合もあったほうがいいですね。

イースト菌ブラインシュリンプの餌になります。1L程度の容器であれば、濡らした針先につける程度でOKです。

 

ライトで集める方法でもすべては吸い取れないので、余ったらある程度ボトルにあつめて、この方法でキープするのもおすすめです。

成長させた成魚にも有効な餌になりますね。

タツノオトシゴの餌にする場合なども、この方法である程度大きくしたブラインを与えるといいです。

オオウミウマなどの大型種であれば、ミナミヌマエビを増やすのも有効ですがこれは別なお話なので後日解説します。

 

 

 

というわけで

今回はブラインシュリンプに関してでした。

とくに沸かせることに関しては難しく考えなくてOKです。

保管だけちょっとシビアで、あけた後は必ず冷蔵庫での保管をおすすめします。

耐久卵のクセに結構簡単に孵化しなくなります。

 

塩抜きするしないも重要ですね。

淡水魚の稚魚だと、直接ブラインの孵化水をあたえたその一瞬の塩分濃度の急上昇でも弱ってしまいます。

長期的に考えると全体に悪影響なので、面倒くさがらずにやってあげるようにしましょう。

 

というわけでこんな感じでブラインシュリンプをベタ稚魚にあたえています。

やっぱりブラインに移行したとたんにグイグイ成長していきますね。

これも豆知識ですが、生後半月程度までは平行してインフゾリアも与えておくと吉です。

ブラインは全体にいきわたらないので、食べられなかった子はとりあえずインフゾリアで我慢してねという形のほうが、稚魚の生存率は絶対的にいいです。

これやったときは40匹生存で、やらなかったときは20匹生存とけっこう差が出ます。

 

ベタの稚魚にかんしては少しずつ繁殖記録として更新していますので、そちらもお楽しみに!

 

 

 

 

※当サイトで紹介している内容は、筆者が試して成功した方法であり、完全に安全な方法でないことをご理解のうえ参考にしてください。いかなる損失・損害も当方で保証できないことをご了承ください。
※当サイトに掲載されている写真で、当方で権利を所有している写真においては、無許可で利益を得るために転載、引用条件を満たした場合を除く利用をした場合、所定の利用料を請求させて頂きますのであらかじめご了承ください。