初心者がアクアリウムを始める手順とは?失敗を99%避けるためのアクアリウムの手順をプロが徹底解説
いきなりですが、アクアリウムは化学です。
その行程すべてに理由があり、その行程にはすべてに結果が伴います。
というわけで今回は、アクアリウムに初めて挑戦する方むけに、踏むべき手順とその理由を徹底的に解説していこうと思います。
- アクアリウムは魚を水に入れるだけで終わらない
- ①飼いたい魚を選ぼう
- ②水槽を選ぼう
- ③底砂(砂利)を選ぼう
- ④ろ過装置(フィルター)を選ぼう
- ⑤魚を入れずに水槽を準備してしばらく待つ
- ⑥日々の管理
- というわけで
アクアリウムは魚を水に入れるだけで終わらない
多くの方は、魚は水の中にさえいれば生きていけると思いがちです。
水槽と水、最低限酸素と好みで砂利を入れればいいだろう程度に思っているかもしれません。
が、魚はそれでは生きていけません。
実際にはそれでも生きていける魚もいるので、正確には「安心して生きていけない」といったほうが正しいでしょう。
水槽の中は、いわば閉鎖された自然です。
水槽の中には、目に見えていない部分で大きな変化が沢山起こっています。
その自然のバランスをとってあげるのがアクアリウムの大原則。
そこには人の手や技術を使う場合もありますが、目指すところは自然が行っていることの再現をすることです。
では実際にはどうしたらいいのか、その行程と意味を考えていきましょう。
①飼いたい魚を選ぼう
魚には様々な種類がいますよね。
アクアリウムではその魚を本来の生息地の環境に近づけてあげることが大前提です。
つまりは、飼いたい魚を決めなければ適切な環境を整えてあげることはできないのです。
ただし、まだ魚は購入しないようにしましょう。その理由は後述。
特に注意するべきは
・何を食べるか
・どこに住んでいるのか
です。
魚の食性について
これは与える餌を選ぶことと、混泳について予想できます。
餌は魚の健康管理にも重要なので、人工飼料でいいのか、生餌なのか、活き餌なのかを確認しておきましょう。
もし肉食性の場合は、口に入るほかの魚を食べてしまう可能性があるので注意しましょう。
生息地について
魚の生息地の環境を再現してあげるために、自然界でどこに住んでいるのかを把握するのも重要です。
注意するべきは、
・pH
・水温
・隠れ家
などです。
これによって砂利の有無やヒーターの設定温度、使うべきレイアウトがわかります。
②水槽を選ぼう
水槽は魚が生活するすべての範囲です。
魚にとっては、よく言われるような「部屋」ではなく、魚の生活する「世界」のすべてです。
自分に当てはめて考えると、自分の行動範囲が広いほうがいいのか狭いほうがいいのか考えれば、なるべく広いほうがいいですよね。
ただ魚にも性格があるので、狭くても気にしない魚や、改良された結果狭いほうが適している魚もいます。
また、水の量が多ければ水質の管理もはるかにしやすくなります。
掃除だけを考えれば小さいにこしたことはありませんが、魚の体調を整える上で重要な水質は水の量が多ければ調子を崩しにくくなります。
このため、特別な理由が無ければ余裕を持って大きい水槽を購入するようにしましょう。
③底砂(砂利)を選ぼう
砂利は人間から見て水槽の見た目をよくする目的で入れると思いがちですが、魚にとっても砂利の有無はとても重要です。
水を浄化する力を持つ
一般的に水槽にはろ過装置も設置しますが、底砂にも重要な水質浄化作用があります。
詳細は後術しますが、水質を保つためにはバクテリアが大きな役割を担っており、そのバクテリアの一番の住処になるのが底砂です。
水を綺麗にするとうたう砂利もありますし、実際有効ではありますが、そうでない砂利にもバクテリアが住み着き水質を保つ効果があります。
水質(pH)を調整する
水槽に入れる底砂は、少しずつ成分が水中に溶け出し、水質を少しずつ変えて行きます。
特に重要なのがpHで、入れる底砂がpHに大きく影響します。
すべてが有効というわけではなく、飼育する魚の種類によって適するpHが変わります。
つまり魚に合うpHにしてくれる砂利を選ぶ必要があります。
魚の発色を変える
カエルやカメレオンは環境に合わせて色を変えることがよく知られていますが、実はほとんどの魚にも同じ能力があります。
つまり色の薄い(明るい)底砂を入れれば薄い色に、濃い底砂を入れれば濃い色になります。
特に色鮮やかな熱帯魚であれば、その影響も大きくなります。
④ろ過装置(フィルター)を選ぼう
フィルターは目に見えるごみを吸うだけでなく、様々な働きがあります。
その性能を総括して魚に適切なものを選ぶようにしましょう。
ろ過能力
ろ過装置というぐらいなので、ろ過能力はまず重視するポイントです。
・大きいごみを取り除く
・小さいごみを取り除く
・目に見えない毒素を取り除く
など、ろ過能力と一口に言っても様々な能力が必要になります。
すべてを両立することは難しいので、どこを重視するか魚に合わせて選びましょう。
酸素を取り込む効果
酸素は水の中に空気を取り込むことで溶け出すと思われがちですが、実はそれによる効果は薄いです。
どちらかというと水面をかき混ぜることによって溶け出す酸素のほうが多く、空気でなくても水をかき混ぜれば酸素を取り込んでくれます。
つまり水面をかき混ぜるフィルターにも、酸素を取り込む効果は十分にあるというわけです。
水流を起こす効果
フィルターは水をろ過材に通すことでろ過するので、多かれ少なかれ水流が起こります。
水流はあまりに強いと魚に悪影響ですが、適度な水流は魚にも快適で、水質にも好影響があります。
水流に対する耐性は魚によって違うので、魚にあわせて水流の強さを調整してあげましょう。
⑤魚を入れずに水槽を準備してしばらく待つ
まずは、魚を入れずに水槽を立ち上げます。
水槽に砂利を入れ、水をいれ、フィルター、ヒーターを設置しましょう。
水草を入れたい場合は、まだ買わないほうがいいでしょう。
魚を入れるのはまだまだ先で、まずは魚のいない状態の水槽をしばらく楽しみましょう。
その理由は?
バクテリアが住み着くのを待つ
バクテリアは、魚の出す汚れから発生する毒を無毒化してくれます。
つまりバクテリアがいない水槽に魚を入れると、魚が毒にやられて死んでしまいます。
お祭りでとってきた金魚が数日で死んでしまうのはこのせいで、水中の毒によって死んでしまうことが多いからです。
水の塩素を抜くのもバクテリアのためで、水道水の塩素はバクテリアなどを殺すためのものです。
最初の水槽を立ち上げる段階では塩素が入っていても問題ありませんが、後に水換えするときは必ず塩素を抜きましょう。
バクテリアが水槽に住み着くのにはおおよそ2週間~1ヶ月かかります。
それまでは魚を入れずに、水槽を魚を飼うのと同じ環境においておきましょう。
水草はこの段階で入れてしまうと、魚の出す水草の養分がまだないので枯れてしまうこともあります。まだ待っておくといいでしょう。
バクテリアも生きているので、ただほっとくだけでは住んでくれません。
バクテリアの餌になる魚の餌を入れることで増えていくので、魚はいませんが魚の餌を毎日少しずつ入れてあげましょう。
こうするだけでもバクテリアが定着してくれます。
もし白くにごってしまったら、バクテリアが増えすぎている可能性があります。
もう一度やり直すか、水換えして透き通るまで数日水換えを繰り返しましょう。
⑤バクテリアを定着させたら魚を買って入れよう
バクテリアを十分に住まわせたら、魚を買って入れましょう。
魚を水槽に入れるときは、水あわせを行います。
水あわせを行わないとどうなるのでしょうか?
温度の変化で病気になる・ショック死
人間がお風呂に入るときと同じで、体を水温に慣らしてあげる必要があります。
水温を合わせる方法は、魚を袋のまま水槽に入れてあげればOKです。
このとき袋の口をあけないようにしましょう。酸欠のリスクがあります。
pHショックで死ぬ
pHは魚にとって大きな要因で、合わないと病気になりやすくなることがあります。
さらにpHが急激に変わると、それ自体が原因でショック死することがあります。
pHをあわせるには、魚の入っている袋に少しずつ水槽の水を入れ、鳴らしてあげる必要があります。
⑥日々の管理
魚を入れたら、日々の管理をします。
具体的には「水換え」「給餌」「フィルター掃除」「砂利掃除」です。
水換えはなるべくしないほうが吉
水換えは水槽から水を抜き、塩素を抜いた水を補充する方法です。
水換えでは水槽内に溜まりすぎた養分を薄める目的で行います。
しかし水質を変えることに他ならないので、魚への負担は少なからずあります。
病気や突然死を誘発することもあるので、なるべくしないことが魚の健康に繋がります。
ただし過密飼育や小型水槽ではそうも言っていられないので、なるべくこまめに、少量づつの水換えを心がけましょう。
餌やりは食べ残しに注意
食事は健康の要といわれるとおり、健康維持に重要な管理です。
ただし水槽内の汚れのほとんどは餌によるものなので、あげすぎは厳禁。
とくに食べ残しは害にしかならないので、食べ残さない量を。
食べ残しがあれば、早めに網ですくったりスポイトで吸い取るなどして処理しましょう。
フィルター掃除はなるべくしない
フィルターには多くのバクテリアが住んでいて、綿状のろ過材が大きな汚れを漉しとり、バクテリアがそれらと発生する毒素処理します。
フィルターを洗うとそのバクテリアも流してしまうことになるので、なるべく洗わないようにしましょう。
とはいえ汚れを吸い取る以上汚れは溜まっていくので、適度に掃除はしなければいけません。
そういうときは、水換えや砂利掃除と一緒に行わず、別な日に行いましょう。
あまりに汚れてしまうようなら、ろ過能力の高いフィルターに取り替えるか、複数フィルターを取り付けるのもおすすめです。
砂利掃除は細心の注意を
砂利もどうしても汚れがたまったり、コケが生えて汚くなってしまうことがあります。
こういうときは砂利を専用のホースで掃除し、もしコケが生えている場合は表面だけ取り出しましょう。
砂利をいじるということは砂利に溜まっている大量の汚れを水槽内に撒き散らすことになるので、細心の注意を怠らないようにしてください。
砂利掃除のあまりに汚れる頻度が多いようであれば環境に何か問題があるので、飼育環境を見直してみましょう。
というわけで
基本的な部分ですが、それぞれなぜしなければいけないのか理解できましたでしょうか。
長くなりそうだったので、特に重要な部分について簡単に書きましたが、それぞれもっともっと深い理由や事象があります。
随時細かく解説していきますので、興味があればそちらも宜しくお願いします!