優しい熱帯魚さん|飼育記録から飼い方まで

熱帯魚屋さんが熱帯魚の買い方をれくちゃーするブログです

【熱帯魚ショップ・問屋】アクアリウムのお仕事求人を見る前にまず読んで欲しいリアルな話【メンテナンス・メーカー】

就職活動のルール改定が叫ばれる昨今、学生の皆さんは前倒しして職探ししているのでしょうか。

転職も活発で、二次新卒なんていう言葉も定着してきましたね。

そんななか古今東西好きなものを仕事にしようとする方も多いようで、アクアリウムも立派な商売として成り立っています。

かく言う私もその一人で、2年前まで熱帯魚ショップの従業員でした。

そこそこ顔も広かったので、業界の裏事情もそこそこ理解しているつもりです。

 

というわけで、アクアリウム関係の仕事はどうなのか、各職種を比較してご紹介します!

 

 

 

 

熱帯魚屋(ショップ)は一番間口が広く就職口も多いが…

熱帯魚が好きだ!という方がまず思い浮かべるのが熱帯魚屋さんでしょう。

専門店でなくとも、ペット用品店やホームセンターにも熱帯魚コーナーがありますね。

軽く調べた中でも求人数が多く、就職口も多いでしょう。

熱帯魚と触れ合って仕事がしたいという方には第一候補になりえますが、しかしよく見極めて決める必要があります。

 

専門店は深い知識が必要

熱帯魚のみを扱っている専門店の場合、就職口がまず少ないという落とし穴があります。

たいていが個人経営か小規模経営なので、少人数で事足りてしまいます。

雇う場合も給料が少ない場合が多いです。

私がやめたのもお金の部分です。手取り13万残業代なしでは死んでしまいます。

 

また専門店に来るお客さんは、それなりに目の肥えた方が多いです。

そういった方を相手にするのだから、お客さんの1周り2周り上を行く知識が必要です。

専門店のお客さんは店に付く傾向があるので、年単位で長いお付き合いになります。

徐々に知識を…という考え方でなめてかかると、ずっとひよっこ呼ばわりされてしまうこともあります。

逆にお客さんに教えてもらえるような関係性を築けるのがベストですが、なかなか難しいところです。

私の勤めていたお店では、ご指名で熱帯魚を買いにくるお客さんも多かったです。

 

とは言え、「自分知識あります!」系の人材は嫌われます。

というのもこだわりが強いと使いにくいからです。僕も採用担当したときに何人か切りました。

ショップの管理は飼育ではないので、ある程度妥協が必要です。

治す経費より利益が少ないなら見捨てなければならない場合もありますし、その人が好きな魚を入荷しても売れない場合があります。

どちらかというと、基礎をしっかり理解している程度の人材の方がありがたいパターンもあります。

 

働いている上で、専門店はクレームは少ないですが、クセの多いお客さんは正直多いです。

ただ同じ趣味を持っていれば分かり合える部分もあるので、好きこそ物の上手なれの精神でがんばりましょう。

 

 

ホームセンターの熱帯魚コーナーはやめておけ

ホームセンターに熱帯魚コーナーがある場合、相当なフィジカルと精神力がなければやめておいたほうがよいでしょう。

 

第一に、お客さんの知識が圧倒的にない。

熱帯魚が生き物だということを知らないのか?というレベルのクレームが押し寄せるそうです。

病気で死んでも管理方法が悪くて死んでもとりあえず店のせいにして保障を求めてきます。

知識ゼロで始めたいという方も多く、そこにバクテリアの説明をしようとする時点で気がめいりますよね。

たいていは水槽立ち上げずに買って失敗し、クレーマーは店に舞い戻り保障を求めてきます。考えただけで私は勤めたくありません。

 

また、会社によっては熱帯魚以外のお客さんも対応しなければいけません。

ペット用品ならまだしも、工具や自転車など、まったく関係ないものもやらされるそうです。

そして水槽管理がおろそかになり、上司からは怒られ愛する魚たちは死んでいくのでしょう。

 

また接客業は基本がアルバイトです。給料には期待できません。

正社員で入社した場合、大企業は転勤があります。配置換えで熱帯魚担当になれるとは限りません。

熱帯魚が好きで商売にしたいと考えている方には、絶対におすすめしません。

 

「熱帯魚屋・アクアショップを開業するにはどうしたら?」熱帯魚屋を始める方法 | 優しい熱帯魚さん

 

 

 

 

 

生体問屋は楽しいが・・・?

熱帯魚ショップも自ら魚を採取しているわけではなく、どこかから仕入れます。

それが生体を専門にしている問屋で、日本だと神畑養魚が有名ですね。

僕が主に取引していたのは地元に営業所がある問屋でした。

意外と求人が多く、正社員で入社しやすい問屋ですが・・・。

 

 

仕事が生体管理とは限らない

もちろん生体問屋には水槽が無数にあり、日々入荷した熱帯魚を飼育し、調整してショップへ降ろしています。

たしかにこういった生体管理の仕事が問屋のメインで、接客する必要もないので魚に向き合いやすく、担当になれば珍しい魚と触れ合うことも出来ますが、もちろん企業なのでこれだけでは成り立ちません。

 

まずは営業職。

ショップと問屋のつなぎ役ですね。

会社の規模にもよりますが、常にお店を跳びまわって時に水槽の設置を手伝ったり、お店に掛け合って取り扱っている用品の場所を確保したり、時にクレーム対応したりする方です。

魚と触れ合える時間はあまりありませんが、知識も発揮できますし成績もわかりやすくやりがいがある仕事でしょう。

私も良くお世話になりました。

 

次に事務。

出荷した商品がしっかり納入されているか、支払いされているか確認したり、客先からの問い合わせを取り次いだりするお仕事です。

残念ながら、事務職はほとんど生体と触れ合えません。

 

あとは出荷担当者もいます。

魚を水槽からすくって袋につめ、各店舗に送る仕事です。

もちろん管理担当者も行いますが、たいていの企業には出荷専門のパートさんがいます。

一度手伝ったことがありますが、結構激務です。

 

生体問屋といってもこのように魚と触れ合わない仕事もあります。

もちろんそこにやりがいを見出せればよいですが、単純に魚と触れ合うことだけを考えているとちょっとイメージが違ってしまうことも。

 

 

海外転勤がある

熱帯魚はたいてい海外の種類ですよね。

つまり、ほとんどが海外から輸入されているんです。

その生体を現地のお店から仕入れる担当者がいて、世界各国に常駐することになります。

特に口先での取引が信用できない途上国が多く、そこに派遣される可能性があります。

実際取引先の営業さんが一人タイに飛ばされました。本人は魚にまみれて幸せなようですが。

 

 

 

ただ私がまた熱帯魚関係の仕事に就くなら問屋がいいと思っています。

ショップはどうしてもお客さんに振り回されて魚がおろそかになってしまうので、自分の仕事に集中できる問屋はかなり働きやすいように思えるからです。

神畑さん、機会があればぜひ宜しくお願いいたします笑

 

 

 

 

水槽メンテナンス業者は闇も

元々ショップが引き受けていた水槽のメンテナンスですが、最近は専門にする企業が多くあります。

たとえば薬局に水槽が有る場合なんかはたいていこういった会社が設置し管理しています。

水槽の管理が主な仕事になるのでアクアリウム好きにはおすすめできる仕事ではありますが、儲かるがばかりに闇もあります。

実際私も勤めようと思って、入社して2週間で怒りに堪えられず辞めました。

 

 

トップの知識が伴っていない場合も

最近こういったメンテナンス会社は乱立しています。

熱帯魚が好き、もしくは経験があって起業した方が仕事にしたいとある程度志があって始めた場合はいいですが、ただ単にお金になるから始めたという会社もあります。

私が入社した会社もそうで、残念ながらトップ(社長)が金のことしか考えていませんでした。

熱帯魚の知識がゼロで、小型魚と肉食魚を一緒に入れて「喰われた!お前の管理が悪い!」と言うような人でした。

ただ正確に何がある人間というのはたいてい外面がいいので、業績はそこそこ。

とはいえ自分が全部吸い上げて、社員は最低賃金。もしくは請負偽装して最低賃金すら払わない会社でした。

 

 

他人の水槽をいじる場合責任が大きい

自社で設置し、管理も請け負うという場合もありますが、お客さんの持ち前の水槽を管理する場合もあります。

この場合、お客さんの魚の命を預かるので寸分のミスも許されません。

 

また床に水をこぼした、万が一家電にかかってしまったなんていう場合も責任を負わなければなりません。

なので、通常の水槽管理よりも重く厳しい責任を背負って日々仕事をしなければならないわけです。

 

 

 

単純に儲かるのでこれからもメンテナンス会社は増えていくのかなとは思いますが、中小企業の経営者には地雷が多いので注意しましょう。

なんならコネクションがあるなら起業したほうが安全です。私は副業のひとつとしてやっていますが、この話はまた後日。

 

 

 

 

用品メーカーは魚と触れ合わず人と触れ合う

魚を飼うには必須の水槽や餌、ヒーター、フィルターなどを販売する用品メーカーもひとつの就職口です。

たとえばスペクトラムブランズジャパン(元Tetra)や、GEX、水作、KOTOBUKI、ニチドウ、キョーリンなどなどですね。

これは魚と触れ合う仕事ではありませんが、熱帯魚飼育の知識を発揮できる仕事でもあります。

 

ほとんどが営業職

用品メーカーにも仕入れや事務、設計など様々な仕事がありますが、一番多いのが営業職です。

大きいメーカーでは日本全国に営業がいて、日夜駆け回ってがんばっています。

 

たとえば大阪の某社を例に取ると、本社自体は人数が少ないですが、営業はその倍いるそうです。

その結果シェアを大きく伸ばしていますね。

 

営業の主な仕事は、問屋やショップへおすすめ商品を扱ってもらったり、商品の評判を聞いたり、不良品が出たときのお客様対応などなど。

一人で様々な仕事をこなしています。

正直クレーム対応以外はすごく楽しそうな仕事です。

 

 

 

 

養魚場は勤めるものではなく始めるもの

熱帯魚は海外で採取、繁殖させたものが主ですが、日淡などは国内で繁殖させたものが主流です。

それを「養魚場」と呼びます。

コイや金魚が多いですね。最近はメダカも増えてきました。

就職口がないとは言いませんが、かなり少ないです。

 

ほとんどが個人で小規模

この養魚場、流通させるのを前提としたところは国内でも数えるほどしかありません。

じゃあ多くは何なのというと、品評会入賞を目指した個人の方です。

つまりそもそもそういう方は人を雇わないんです。

ルートを持っている方は問屋やショップに卸しています。

 

一部流通させることを前提とした養魚場もありますが、かなりレア。

どちらかというと西日本に多いですね。

そういったところを見つけるのはかなり困難なので、個人的には自分で始めたほうが手っ取り早いと思います。

ただ昨今のアクアリウム市場をみると、副業にもなりえるか疑問なところです。

 

 

アクアリウム業界は前途多難ですよと

とりあえずひとついえることは、楽なところはどこもないということ。

コンビニバイトのように人材確保にやっきになっているようなところはなく、たいていは人不足だけど雇う余裕がないといったところが大半です。

 

この転機になったのが東日本大震災です。

私の勤めていたショップも3.11から一気に売り上げが下がりました。業界全体を見ても顕著なようです。

一方上がっているのが爬虫類系で、たいていがアクアリウムと一緒に計上されていますが爬虫類関連の売り上げがここ10年で2.5倍ほどになっています。

 

ただ、個人的には消え去ってしまう趣味だとは思えないので思い切って飛び込んで根付いてしまえば生涯の仕事に出来る業種だと思っています。

実際知識をある程度つけてコネを作った私は、別業でも水槽管理でそこそこお小遣いを稼げています。

 

ぜひ強い意志を持つみなさんは、一念発起して飛び込んでみてください!

 

 

※当サイトで紹介している内容は、筆者が試して成功した方法であり、完全に安全な方法でないことをご理解のうえ参考にしてください。いかなる損失・損害も当方で保証できないことをご了承ください。
※当サイトに掲載されている写真で、当方で権利を所有している写真においては、無許可で利益を得るために転載、引用条件を満たした場合を除く利用をした場合、所定の利用料を請求させて頂きますのであらかじめご了承ください。