かわいい顔して凶暴魚?プロが教える貴重な淡水フグ「アベニーパファー」の飼い方
小型水槽の立ち上げに当たって飼育したアベニーパファー。
かわいい見た目で淡水魚なので人気ですが、実はちょっとクセのある魚でもあります。
今回はアベニーパファーの飼育方法についてご紹介します。
- アベニーパファーとはどんな魚?
- アベニーパファーの水槽作り!
- アベニーパファーの水槽レイアウト
- アベニーパファーの飼育管理
- アベニーパファーの飼育についてもう少し掘り下げてみよう!
- おすすめ度三ツ星のアベニーちゃん
アベニーパファーとはどんな魚?
キョロっとした目にぷっくりとした体で人気のアベニーパファー。
見た目からわかるとおり、フグの仲間です。
フグといえばハチノジフグやミドリフグがベターで、「フグ=海水(汽水)」のイメージのなか、このアベニーパファーは淡水の魚です。
インド原産の魚で、現在わかっている中では「世界最小の淡水フグ」としても知られています。
大人になっても大きさは35mm程度で、熱帯魚屋に並ぶ魚の中でもかなり小さい部類ですね。
自然での生息地は流れの緩やかな川や池などです。
そこで貝類や小魚などを食べるフィッシュイーター(肉食魚)です。
小型魚ということも有り寿命は短めで3年程度。
流通固体が大体半年~1才なので、飼育できる期間としては2年少々と考えておくといいでしょう。
小型というほかに特別なのが、水槽内での繁殖が容易ということ。
実はオスメスの判別も簡単なので、繁殖に挑戦するのもいいでしょう。
余談ですが、販売価格が安いのに実は絶滅危惧種に指定されているので希少な魚です。
大事に飼育したいですね。
以上の点を踏まえて飼育環境を考えてみましょう!
アベニーパファーの水槽作り!
小型魚ということで、小型水槽でも簡単に飼えそう。
と思うのは少し短絡的で、実はちょっと注意しなければならない点があります。
環境自体は簡単なので、特別な設備等は必要ありません。
適した水槽
小型魚は一般に小さめの水槽でもOKと思われています。
たしかにアベニーパファーもあまり活発にビュンビュン泳ぐタイプでもないので、泳ぐスペースはあまり必要ありません。
しかし、注意するべきポイントが2つ。
まず、肉食魚なので水槽が予想以上に汚れるということ。
メインの餌は冷凍赤虫になるので、赤虫の体液などが水中に流出します。
食べ残しも腐ると急激に水を汚すため、アベニーパファーの体調以前に、水質を保つためにすこし余計な水量があると望ましいです。
次に、水流が苦手ということ。
アベニーは主に胸鰭を活発に動かして泳ぐ魚なので、そこまで推進力がありません。全速力で逃げてもほかの魚よりぜんぜん遅いです。
また体が丸く、水流を受けやすく強い水流を受けると抗うすべなく流されていきます。
このため、狭い水槽だとフィルターの水流に巻かれて上手く泳げず、弱ってしまいます。
なので、水流を受けにくいエリアを作れるよう広めの水槽が必要です。
これはフィルター選びである程度対処してあげることができます。
飼育数にもよりますが、できれば最低でも30cm以上の水槽が安心ですね。
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おすすめのフィルター
先述したとおり、アベニーパファーは水流に弱く、よく水を汚す餌を与えます。
つまり、水流が弱くて濾過能力の高いフィルターが必要ということになります。
特に水流にかんしては、比較的小さめの水槽で飼育するとなると注意しなければいけませんが、相反するこの条件を満たすフィルターはそう多くはありません。
大きい水槽であれば水流も弱くなるのでわりとどんなフィルターでも大丈夫です。
今回は上で紹介した30cm程度の水槽で仮定してみましょう。
間違いないのは底面フィルターです。
水流も弱く、濾過能力も非常に高い。
ただ、掃除するに当たって砂利をすべて抜かなければいけない。つまり、魚もレイアウトもすべて出さなければいけないので難しいところです。
次点でおすすめなのが、エアリフト式のフィルターです。
水作エイトのようなブクブクタイプや、スポンジフィルターなどですね。
水流も局地的で、濾過能力もそこそこ高いです。
水中フィルターはシャワーパイプで水流を弱めれば比較的負担の少ないフィルターですが、ろ過材コストは少し高め。
外掛け式フィルターを使う方が多いですが、もれなくレイアウトをしっかりしてあげないと水流が強すぎます。
個人的にお勧めなのはスポンジフィルターですね。
水槽内にどーんと存在感のある巨大なスポンジがあることを除けば、生体への負担も少なく、アベニーの汚すレベルなら十分対応してくれます。
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おすすめのヒーター
水温はほかの熱帯魚と変わらず、おおよそ23~27度であれば十分元気に生活してくれます。
水槽の水量に適したオートヒーターで問題ありません。
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アベニーパファーの水槽レイアウト
水流を弱めるためにも重要なレイアウトですが、アベニーパファーは結構臆病な魚でもあるので、隠れ家はけっこう重要なポイントです。
割と自由度も高いので、楽しみながらアベニーが安心できる環境を作ってあげましょう。
おすすめの底材(砂利)
アベニーパファーは底材が結構重要です。
アベニーの印象的な迷彩柄の体色ですが、周りの環境によって体色の明るさや濃さが変わります。
本当に迷彩ですよね。
また体調を崩すととたんに死んでしまうので、砂利で水質を管理してあげるといいでしょう。
水質を弱酸性にしてくれるものがいいですね。
個人的におすすめなのがソイルです。
黒もしくは茶色なので体色も出やすいですし、水質調整効果も高いです。
それ以外では、サンゴ砂などのアルカリ性に傾けるもの以外なら何でもOKですが、なにか弱酸性に傾けてくれるレイアウトを入れてあげるといいでしょう。
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流木がおすすめ
流木はネイチャーなレイアウトによく使われるアイテムで、アベニーの隠れ家にもなるのでおすすめです。
また、流木には水質を弱酸性に傾けてくれる効果もあります。
まさにアベニーにぴったりですね。
最近では小さめで安いものも多くあるので、小型水槽にもおすすめです。
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水草はかじってしまうかも
アベニーはなんにでも興味心身で、食べる気がなくてもとりあえずかじりつきます。
水槽のレイアウトを直すためのピンセットにもかじりついてきますかわいい。
ただ、これは水槽のレイアウトも同じで、水草なんかも気になるとかじりつくことがあります。
アベニー自身には基本的に無害ですが、場合によっては水草が枯れてしまうこともあるので入れるなら丈夫な種類をおすすめします。
アベニーパファーの飼育管理
少し癖はあるものの、飼育管理はそう難しくありません。
ほとんど熱帯魚飼育のセオリーどおりです。
餌の種類と頻度
アベニーパファーの餌は基本は冷凍赤虫です。
量は大人のアベニーでも1日赤虫3、4本と、かなり少量です。
解答した赤虫は再冷凍できず、常温では痛んでしまうので飼育数が少ないとちょっと無駄になってしまうことも。
アベニーパファー専用の人口飼料も最近見かけますが、基本は食べてくれないと思っていいでしょう。
我が家ではいまだに食べませんし、ショップでも喜んで食べる姿をみたことがありません。
慣れる前に死んでしまったら本末転倒ですし食べないようなら無理に与えないようにしましょう。
私がメインで与えているのは、水槽に沸く貝です。
硬い貝ではなく、やわらかい「モノアラガイ」です。
アベニーはこれが大好きで、目をよらせて周りを旋回し、勢いよくつついて食べます。
我が家ではスネークヘッドの水槽でこいつが増えているので、この貝を生きたまま入れておけば水を汚すこともないですし、好きなタイミングで食べてくれます。
ただこの貝は売っているわけではなく、あくまで邪魔者なので入手が少し難しい。
管理の悪い店であれば繁殖しているので、水草を買うかわりにいくつか入れてもらう交渉をしてみるのもいいかもしれません。
水換え
バクテリアがしっかり定着してしっかりフィルターが働いている水槽であれば、1ヶ月に1度1/4程度水換えする程度で十分です。
注意したいのが、ほかの魚のようにホースを使った水換えは不意に吸い込んでしまったりするリスクがある程度でしょうか。
アベニーパファーの飼育についてもう少し掘り下げてみよう!
↑うちのこです。
こんな感じで飼育が簡単なアベニーパファー。
せっかくなので、もう少し掘り下げてみましょう。
混泳できる魚は?
アベニーパファーは、こんなにかわいい見た目なのにとっても凶暴です。
つまり、ほかの魚を食べたり傷つけたりしてしまう可能性がとても高いです。
口に入るようなサイズはもちろんですが、ヒレやヒゲなど一部をかじってしまうこともあります。
逆に、アベニーが小さいことでほかの魚に食べられてしまうことも。
貝類は好物なので無論NGです。
エビもひげをかじったり、稚エビはたべてしまうこともあります。
つまり、かなり混泳は難しいといえます。
できるとすれば、体が硬いプレコ系の小型種でしょうか。
しかし試したことが無いのでわからず・・・。
アベニーがかかりやすい病気は?
基本に乗っ取ってしっかり飼育すれば、あまり病気になるような魚ではありません。
ショップでも自宅でもほとんど病気になることがなかった魚です。
唯一見たのは白点病ぐらいでしょうか。
ただ小型魚ということも合って、弱るととたんに死んでしまいます。
また初期の白点のように、普通ならメチレンブルーですぐに治るような病気も治療が困難です。
というのもフグ系は薬剤が一切使用できないんです。
なので、なるべく早期で発見し、塩水浴で治療しましょう。
オスメスの見分け方
小さくて特徴のみにくいアベニーですが、オスメスの見分けはとても簡単です。
オスは斑点がまだら模様のように不規則で、目の後ろにシワがあります。
メスは斑点が水玉模様に近く、目の後ろにシワはありません。
この画像を参考にすると、
まだら模様が不均一で、目の後ろにシワがあるのでこの子はオスです。
ちなみにうちのこは女の子です。
繁殖のためにオスメスを選びたいところですが、ショップで無理にオスメス判別を求めるのはご法度です。
というのも、買った固体もショップの水槽内でも死亡率が上がってしまうから。
網で追い回されるストレスや、体に付く傷からですね。
中大型魚ならまだいいですが、とくにアベニーのような小型魚では避けるべきです。
アベニーパファーの繁殖方法は?
繁殖方法自体は実はめだかとそう変わりません。
複数飼育すると、勝手にペアになって卵を産んでいたなんてことも少なくありません。
ポイントは、オスメスがしっかり成熟しているかどうか。
夏場など、比較的水温が高めで推移するようになると、オスのおなかに黒いラインが出てきます。
これは繁殖線といわれるもので、オスが繁殖期に入った合図。
メスはというとそこまで露骨な特徴はないですが、おなかがいつも以上に膨れて、若干色が薄くなります。
ペアリングさえできたら、気づいたら卵を産んでいます。
めだかと同じく水草に卵を産みつけるので、丈夫で葉が細かく卵を産み付けやすい産卵床を用意してあげましょう。
経験上ウイローモスやマツモがおすすめです。
27度で5日も過ぎれば稚魚が生まれます。
最初は小さすぎて餌を食べられないので、生まれて3日目ぐらいからブラインシュリンプを与え、体色がはっきりしてある程度大きくなったらイトメや赤虫などに切り替えます。
初期の餌としてインフゾリアもおすすめですが、ちょっとマニアックな話になるのでいずれ別記します。
上手くいけば、大体2、3ヶ月でよく見るサイズになりますね。
私が成功した例だと、大人になる稚魚は1度に5匹程度です。
卵の数も少ない上に、無性卵も多いようでこれ以上の数になったことはありませんでした。
おすすめ度三ツ星のアベニーちゃん
というわけで、今回はアベニーパファーのご紹介でした。
内容は特別どうこうというほどのものではないですが、うちのアベニーちゃんを自慢したかっただけで書いてみました。
読んでいただければわかるとおり、飼育自体はぜんぜん特別なものは必要ないです。
あくまでセオリーどおり、しっかり設備を整えて管理してあげれば初心者でも十分飼育できる魚です。
飼育しやすく繁殖まで楽しめるということで、おすすめ度でいえば三ツ星です。
ただ、かわいい分死んだときのショックが大きいようですね。
とんでもない悲しい顔して相談しに来たお客さんをいまでも覚えています。
というわけで、悲しい思いをしないよう、しっかり準備して管理してみなさんもアベニーパファーに挑戦してみてはいかがでしょうか。