与太話:自転車屋の気持ちがわかる
久々の与太話シリーズです。
今回は自転車のおはなし。
ではありません。ちゃんと熱帯魚のお話です。
自転車屋さんの販売方法がうらやましい
自転車屋さん、といってもママチャリを売るようなお店ではなく、ロードバイクやらを売る専門店のお話です。
ああいったお店は、多くの場合持ち込みでの修理を断るんですよね。
というのも、いろんなところで手をつけられるとトラブルが起こったときにどこの責任になるかわからないから。
というわけで、熱帯魚屋もそうしたい、と思ったエピソードです。
事の発端は一匹のベタから
よく来るお客さんが、ある日ベタに手を出しました。
当時ベタが好きだった私は、お店にちょっといいベタを並べて自己満足していたんです。
そこからベタにはまるお客様もおおく、ちょっとしたコミュニティになっていました。
とても幸せな空間でしたね。
そのお客さんもそのひとり。
どんどんベタを買っていって、来るたびに語って帰るのがちょっとした楽しみでもありました。
それがあんなことになるとは・・・。
環境を詰めすぎた
アクアリストあるあるですが、どうしても余計な設備をつけたがる。
これはどのジャンルでもありがちですが、アクアリウムではよしとされません。
その生体には適した環境があり、適した設備があるんです。
そのお客様は、もちろん悪意はありませんがベタではあまり推奨されないフィルターをつけたがったんです。
たしかにろ過システムがほしいのはわかりますし、実現できれば有効です。
と言うほうを重視したのか、いつのまにか導入しました。
ほかのお店の商品で。
怒鳴り込まれる
熱帯魚屋、とりわけ僕が勤めていたように初心者が多くくるお店ではよくあります。
「魚が死んだ」「調子が悪い」「フィルターがうるさい」「何で値引きしないんだ」
まぁありがちです。耐性はありますが、ルシールで殴ってやりたいと思うことも少なくありません。ウォーキングデッド。
そのときはなぜかお客さんの親族が怒鳴り込んできて、交換を求めてきました。
理由は「ベタが暴れまわる」。
正直本人に聞かないと事情はよくわからないところではあるんですが、細かく聞くと「フィルターをつけてからベタが暴れまわる」とのこと。
購入からややしばらくしてからのクレームだったので水合わせの失敗でもないし、水流が原因かとおもったら、どうやら底面フィルターらしい。
一般的な底面フィルターならそこまで激しい水流が起こらないのでなにかおかしいと。
とりあえず自分に火の粉が飛ぶ前にと上司が交換に応じましたが、案の定戻ってきた生体は何の問題もありません。
そのときにはお客さん本人が来られましたが、一度連れ帰ったものを返すのは愛着もあっていやだし申し訳ないと言ってくれたので、こちらとしてはぜんぜんOKですの体で、納得いただいた生体をお渡ししました。
底面は底面だけどさ・・・
で、あらためて話をよく効いてみると、あるとき立ち寄った別なお店で買った底面フィルターとのこと。
正直有名店ではありながらそのお店よく知らなかったんですが、どうやらオリジナルの底面フィルターを売っているらしい。
というわけで、理由がわからないのは私の知識としても悔しいですし、お客様のためにもならないというわけでそのお店へ。
そこで一目でトラブルの理由がわかりました。
通常底面フィルターは、水面付近で水をかけ流す構造ですよね。
そこの底面フィルターは、モーターから水面に向かって水流を起こすというシステム。
正直このシステム自体は納得です。このほうが静かだし酸素を効率よく取り込みますからね。
というわけで1セット買って帰ってみたぐらいです。
で、今回のトラブルの原因はというと、そこにベタを入れてしまったということ。
ショーベタはいわずもがな強い水流が苦手です。大きなヒレが水流を拾って流されてしまうから。
そう、その水流に抵抗して苦しんでいる姿がご親族の言う「暴れている」だったんですね。
仮にそのご子息がどこかで「ベタに底面フィルターはOK」と調べて導入したんだとしたら、そのご子息にも責任はありません。
だって実際底面フィルターなんだから。
怒鳴り込まれて返品交換された精神的金銭的損失はさておき、自分に非がなかったということがわかって一安心。
もうかなり昔の話なのでお客さんにその事実を伝えたかは忘れましたが、その後怒鳴り込まれることはなかったので、なにかしらでその問題に気づいて改善してくれたと信じています。
私かて1から10まで面倒見てあげたいですよ
というわけで、自転車屋さんのようにお客さんを囲い込んでしまう販売方法をしたいですよというお話でした。
もしそれができれば、問題が起こったときにも責任の所在がわかりやすいので誠心誠意対応できます。
しかしそんなことは現実的ではなく、できたとしてもすべての対応をするのも困難です。
今回は予想外の理由でしたが、ほんとにそこらへんにおいてあるメーカーの冊子でわかるだろうというレベルの話で怒鳴り込まれるなんてことはしょっちゅうです。
そのために細心の注意を払って生体を管理し、その後のアドバイスにも手を抜かなかったんですが、あまりその努力はお客さんに伝わらないようで。
ちょっと考えてみてほしいです。お店の生体がそんなことになっていますかと。そんな調子の悪い生体だとしたら買うときにあなたは気づいて止めませんかと。
あるときは「ネオンテトラ50匹死んだから返金してくれ証明するものは何も無い。」と。
どうやらほかのお店で買った時から病気じゃないかと言われた事を鵜呑みにして、なら店のせいだと怒鳴り込んできたようです。
お店からすれば、この手の話はほかの客から同様のクレームが入らない次点でなにかの間違いだとすぐにわかります。狙ったようにその人の買った固体だけ病気になるのはありえないですからね。
結局、あまりにひどい態度でお金ばかりに執着していたので、今後当店では対応しない釘を刺して返金しました。手切れ金としては安いものです。
なんだかいやな思い出のひとつでしたが、熱帯魚屋に居るとこういう思い出ばかりです。
これを読んで「やさしくしてあげよう」と思った方はきっといい人です。
でもそういう人は意識しなくてもまともな対応ができているはずなのでそのままでいてください。
これ読んで頭ごなしに店員が悪いと思えるような人が問題なんです。
また機会があれば紹介しますが、こういうことが多すぎて私はショップから手を引きました。
これから熱帯魚屋の店員になりたいという方がもし読んでいたら。
焼け野原で四葉のクローバーを見つけて小躍りできるぐらいの精神力が無ければ、この業界は務まりません。
お気をつけあそばせ。