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ベタ・メダカ・金魚などに!繁殖成功に欠かせない「インフゾリア」の繁殖や管理、採取方法をプロが解説

現在ベタの繁殖にトライしている私です。

初体験の2人の下手な繁殖が痛ましくて心がきゅっとなる思いをしていますが、なんとか丁寧にがんばってもらいたいところ。

 

ベタの繁殖にあたって、人間がこの間することといえば餌の準備です。

特に幼いときの餌が重要で、その後の生存率や成長率、体格などに影響します。

ベタやめだか、金魚など、1mm前後の小さな体で生まれてくる淡水魚の初期餌として重要なのが「インフゾリア」です。

最近はなんとインフゾリアも生きたまま売っているようですが、ブリーダーからすればこのインフゾリアを増やすのもテクニックの一つ。

 

というわけで、今回はインフゾリアについてのあれこれをご紹介します。

 

 

 

そもそもインフゾリアってなんじゃね

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百聞は一見にしかず。

これはインフゾリアを培養してみたボトルです。2Lコーラのボトルです。

若干にごって見えますね。

ではカメラの光学ズームだけで引き伸ばして見ましょう。

 

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なにやらツブツブが見えますね。

小麦粉の粒ぐらいの小さな生き物が動いています。

では簡易顕微鏡でもっと引き伸ばして見ましょう。

 

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丸みを帯びたものがビッシリいますね。
これがインフゾリアです。

実はこの中にも多数の種類がいて、それらをまとめてインフゾリアと呼びます。

 

インフゾリアとは、簡単に言えば動物性プランクトンの総称です。

代表的なものが「ゾウリムシ」ですね。小学校の理科でよく出てきたと思います。

これが稚魚の初期飼料として最適で、ブリーダーには必須の餌。

自然界の水にはやまほど微生物がいて、食物連鎖の一端を担ったり、水質の改善に役立っていたりします。

こういったものを培養して、魚のブリードに利用するわけです。

 

ベタファームでは、インフゾリア豊富な池の水を直接取って与えている場合もあります。

インフゾリアを与えなくても問題ないといえば問題ないんですが、とれる稚魚の数がぜんぜん違いますね。与えないと半分程度になります。

 

 

とはいえ、先述したとおり最近ではこれらも売っています。

インフゾリアの卵などパウダー状で販売されているものや、生きているものもありますね。

なので無理に沸かせなくても、各種観賞魚の育成にはことかかないでしょう。

 

ただ、買わなくてもある程度の知識と設備があれば簡単に沸かせることができるのも事実。

もし今すぐに必要なのでなければ、自家繁殖も試してみましょう。

 

 

インフゾリアの採取方法は?

インフゾリアは、実は買わずともそこらへんにいます。

水道水など、まったくいない水からでは増やしようがないので、まずはインフゾリアを採取しましょう。

 

池などから自然採取

小学校の科学の授業でやったかもしれませんが、ゾウリムシは池など自然の水辺から採取できます。

具体的にいえば、藻や沈んだ落ち葉などの近くに多く潜んでいます。

とくに水深の浅い場所を好んでいますね。

 

そこから水をそのまま採取すればOK。

網ですくっても多少はとれますが、小麦粉の粒レベルなので網だと大半が通過してしまいます。

場所さえ正しければ、コップ半分程度の水で十分種水の役割は果たしてくれます。

 

飼育水から採取

そんな池近くにないよ・・・という場合は、お手持ちの水槽を観察してみましょう。

インフゾリアはかなり小さいですが、目で見て見えないことはありません。

ガラス面などをよく見ると、小麦粉の粒レベルの小さな生き物がビビビッと動いていることがあります。

それが沸いていれば、十分飼育水から増やすことが可能です。

 

我が家の環境でも1つだけインフゾリアが沸いている水槽があるので、稚魚に与えるインフゾリアはそこから種水をとって沸かしました。

 

インフゾリアが沸きやすい水槽の条件としては、

  • ある程度酸素がいきわたっている
  • 栄養分が豊富(端的にいえば少し汚い)
  • 輸入水草を使っていない

などです。

経験上栄養豊富になる肉食魚の水槽でめちゃくちゃ沸いてきますね。

 

砂利を敷いているなら砂利の中の水をスポイトで吸い取る。ベアタンクならろ過材の一部を失敬して種に使えばOKです。

 

 

 

インフゾリアの増やし方

種になるインフゾリアを確保したら、その後はあなたの腕の見せ所。

ここでプロの技術を・・・!

と、いいたいところですが、ぶっちゃけるとたいしたことはしません。

そもそもそんな難しいものならそこらじゅうの池で増えないですよね。

というわけで基本的なことがすべてです。

これ以上やってもダメだし、これ以下はもちろんダメです。

 

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これがうちのインフゾリア培養装置。

ボトルは味海苔の容器です。

 

インフゾリアを沸かすといろいろな種類が増えてきて、ときに餌として不要なものも増えてきます。

カイミジンコとかが代表的な邪魔者ですね。ミジンコなのに魚は食べません。

そういうのを選別して、有効そうなヤツを味海苔ボトルにいれて増やし、大きい容器に移してさらに増やす方法をとっています。

最初はここから直接与えていたんですが、増殖のスピードより消費のスピードが上回ったので大きいボトルも2本用意しました。

 

では、このなかでなにをやっているか解説していきます。 

 

①水は十分に塩素を抜いた水と種水を混ぜる

種水を多めにとってそのまま使ってもいいですが、いちいち採取するのも面倒ですよね。

これは難しいこと考えずに、水道水から塩素を抜いて使えばまったく問題ありません。

重要なのは塩素を十分に抜くというだけ。

ここが最大のポイントです。水道水を直接入れると最悪全滅します。

飼育水に沸いているなら、もちろんその飼育水をまるまんま使ってかまいません。

 

 

②インフゾリアの餌の餌を入れる

インフゾリアも生き物なので、餌が必要です。

インフゾリアの餌はいわゆるバクテリアになるんですが、さらにそのバクテリアの餌になるものを入れてあげるというわけです。

 

野菜の切れ端

正直ゆっくり腐るものならなんでもいいんですが、お手ごろなところだと葉野菜ですね。キャベツなんかです。

これはほんとにわずかでOK。1Lぐらいの水なら居酒屋で出てくるうま塩キャベツ1枚分ぐらい。

入れすぎるとどうなるかわかりますよね。ドロドロに腐ってインフゾリアどころではなくなります。

葉野菜を入れるときは、なるべくくちゃくちゃにつぶして入れます。

こうしないと痛みにくく、バクテリアの元になりにくいです。

 

強力わかもと

もしあればベストなのが強力わかもとです。

胃もたれのときとかに飲むやつですね。

これ昔お客さんから聞いて試したんですが、めちゃくちゃいいです。

1.5Lペットボトルに半分程度水を入れて、「種水」と「塩素を抜いた水」、そこに「強力わかもとを1錠」入れるだけでわさわさ増えていきます。

最初は強力わかもとの成分が魚に影響あるのではと思いましたが、成分表から見る限りは問題ないですし、魚よりはるかにデリケートなインフゾリアで問題ないなら飼育水に多少入り込んだところで問題もないでしょう。

理想を言えばなにか無農薬の水草を入れておくといいです。マツモあたりですかね。

ペットボトルの水を半分にしたのは、1日1回程度攪拌して酸素を取り込むためです。

エアレーションするならその必要はありません。

 

同じ効果はエビオス錠にもあると見たことがありますが、エビオスはまだ試したことはありません。

 

PSB

よく「稚魚の餌にいい」と言われるPSBですが、PSB自体にバクテリアが残っているかどうか、よく議論になりますよね。

結論から言えば、よくわかりません。あの密閉ボトルで開封までちゃんとバランスを保った環境が整っているのかはわかりませんし、保っていてもどういう環境でいつまで大丈夫なのか確証がないからです。

 

が、インフゾリアに対して効果があるのかないのかでいえばあると実感しています。

というのも、これバクテリアの培養液みたいなものなんですね。

つまりその中に生きたバクテリアが入っていようがいまいが、入れればインフゾリアの餌の元になるバクテリアを増やす効果があると考えられるからです。

PSBも最近いろいろな種類あるので一概には言えませんが、今回紹介している増やし方に関していえば入れて害はありません。

 

PSBそのものを培養する方法もあるそうですが、私はそんなリッチな使い方はできないのでまた未経験です。いずれ試してみようかな。

 

 

③定期的に振る・もしくはエアレーション

インフゾリアも生き物なので、酸素がなければ生きられません。

ペットボトルなど密閉できる容器なら、水を少なめにして1日1回ぐらい振れば十分です。

面倒だったり、増えてたくさんインフゾリアがいる場合はエアレーションしたほうがいいでしょう。

エアレーションならごく弱い空気量でOKです。水面が少し揺れて、水にかるく流れが生まれる程度に。

むしろ強すぎると存分に増えないことがあります。特にクズ野菜を入れているときは、腐った野菜が巻き上がって与えるときにも厄介なので、強いエアレーションは避けましょう。

酸素を出す石は避けましょう。水質が変わりすぎてインフゾリアが死ぬことがあります。

 

 

インフゾリアの与え方

成功すれば、1週間ほどで気持ち悪いほどに増えているはずです。

これをそのまま稚魚のいる水槽にいれれば餌になります。

もし葉野菜などを入れているなら一緒に入れてしまわないように注意。

 

インフゾリアは淡水の生物なので、水槽内でも特別環境が悪くなければ生きられます。

なので、多少与えすぎてもあせる必要はありません。

むしろ多めなぐらいがベスト。

 

もし自然からとってきた水を飼育水に持ち込むのがいやだという場合は、暗い部屋でインフゾリアのボトルにライトを当てれば集まってくるので、そこから吸い取って与えてください。

もしくは、エアレーションをしばらくしなければ水面付近に集まります。

これでなるべく飼育水に異物を持ち込まないようにできます。

 

 

インフゾリアが減ってきたら?

与えていると、ある一定時期からインフゾリアが増えなくなってきます。

原因は水が枯れてきたから。

新たに餌を入れれば再起可能ですが、バクテリアコロニーなど余計なものも増えているので立ち上げなおしたほうが簡単です。

方法は、この一度増えたボトルから水をとって、同じ方法で新しく立ち上げるだけです。

これで永続的にインフゾリアを増やすことができます。

 

あまりにインフゾリアが減りすぎると種水として利用できなくなるので、使用頻度が高いようなら増えたタイミングで種水をとり、もう1本立ち上げてしまってもいいかもしれません。

 

 

 

もうちょっと深く掘り下げてみよう

せっかくなので、盛り込めなかった知識をもう少しだけひけらかしてみようと思います。

 

牛乳は×

インフゾリアの培養に牛乳がいいと結構いろんなサイトにかいてありますよね。

いいか悪いかでいえばいいんですが、おすすめはしません。

というのも、適切な分量がわからないから。

 

別なページで、私がベタを入荷しまくってお店にベタ好きコミュニティを作ったというお話をしましたが、その仲間の一人のお客さんが、インフゾリアを沸かせてみたが沸いているかわからないと持ち込んできたことがありました。

その水には牛乳を入れたそうなんですが、端的に言えば大失敗していたんです。

簡単に言えば腐っていて、生き物が住めるような環境ではなかったんです。

原因は見るも明らかに牛乳です。

空けた瞬間まさに牛乳が腐ったにおいがして、デロデロになっていました。

私のボトルを1本あげて、屑野菜とPSBを使う方法でそこから成功したようですが、この事件から牛乳に恐怖心があります(笑)

 

 

謎の魔材「魚がいきいき」

これ地元のホームセンターで見つけたんですが、歯に衣着せず言えばまぁ危険なお薬でした。

売り文句としては謎の酵素の力でバクテリアが活性化するらしい。

しかし、ためしに分量どおりに入れた水槽は大崩壊。なんとph3台まで下がりました。

しかもいくら水かえしてもpHが戻らず魚が大量死し、結局リセットに。

 

クレーム嫌いな私がメーカーにクレームまで入れたんですが、なんともまあ魚に無知識なメーカーだったので、どんなに悪いものかと証明するために自分で実験してみたんです。

で、その過程で見つけたのが、インフゾリアの培養にはめちゃくちゃいいということ。

1Lのボトルに飼育水を入れて、そこに1滴お魚いきいきを入れると、爆発的にインフゾリアが増えたんです。

そしてその数日後にはなかったことのようにいなくなりました。

 

この結果から予想できることは、魚が生き生きの効果でバクテリアは確かに活性化しているということ。

爆発的に増えた後に減った理由は、phの降下でインフゾリアすら耐え切れない環境になったか、もしくはインフゾリアが増えすぎて餌が枯渇して餓死したかです。

 

 微生物すら住めなくなる環境だと水質調整剤としてはごみ以下。むしろ毒ですが、これたぶんちゃんと適切な分量計算して、低濃度で利用すればめちゃくちゃいい製品になるんじゃないかと思います。メーカーさんにはちゃんと実験してしっかり積み重ねたデータの上で再度製品化してほしいです。

おそらくバクテリア関係で世界最強の製品になると思います。

 

適切な用量がわからない状態で稚魚に与えることを考えると、飼育水に魚がいきいきが入ったときのデメリットを考えればリスクが大きいですが、インフゾリアを増やすということだけを考えれば有効ということです。

ただ魚がいきいきが無害なレベルまで薄めるとインフゾリアの密度も下がるので、あえて使うメリットはないようにも思います。

 

 

大の天敵「ヒドラ

マーベルコミックの敵の組織ではなく、生き物の名前です。

見た目自体はイソギンチャクみたいで面白いんですが、これがインフゾリアの天敵です。

そして、インフゾリアが爆発的に増えるとほぼ100%ヒドラが沸いてきます。

壁面にくっついてインフゾリアなどを食べる生き物なので、難しいこと考えずに別なボトルにうつせば特段大きな問題にはなりません。

もしそれも面倒だという場合は、いい駆除薬があります。

それがプラナリアZERO」

プラナリアは皆さんご存知、あたまを2つに割っても双頭で生きるかわいらしい顔したナメクジみたいなやつですね。

それを駆除してしまう薬なわけですが、これがヒドラにも効果テキメン。

複数のボトルでインフゾリアを沸かせたい場合は、手間を省くためにこういった駆除薬を用いるのもいいですね。

 

 

というわけで

今回はインフゾリアのお話でした。

インフゾリアを増やすこと自体はなにも難しいことはありません。

難しいのは、必要以上に増やすということ。

バクテリアは水槽の環境に合わせて数を増やし、それにあわせてインフゾリアも増えていきます。

つまり多く増やそうということ自体に無理がある方法なので、ここにコツがあります。

最重要ポイントは餌の確保ですが、今回紹介した方法のなかではやはり強力わかもとが効果的で、まさに強力だなと。

とはいえ方法はひとつではないので、自分のやりやすい方法でお試しいただければと思います。

 

 

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