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魚の飼育はバクテリアの飼育!水槽を買う前に知っておきたい『バクテリアサイクル』とは?

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バクテリア』という言葉を聞くと、どうしても病気など悪者として想像してしまうでしょう。

人食いバクテリアも有名になってきましたよね。

しかし水槽で魚を飼うには、バクテリアは水質や餌の栄養バランスと必ず必要なものです。

バクテリアも生きているので、「魚を飼うこととはバクテリアを飼うことである」と言えます。

今回はそんな大切なバクテリアの基礎知識からその真髄までご紹介します!

 

 

 

 

 

 

「魚を飼うことはバクテリアを飼うこと」

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バクテリアが悪者であるイメージは間違ってはいません。

お祭り金魚がすぐに死んでしまうというのは、このバクテリアのせいでもあります。

しかし、その働き自体は水槽内の毒素を排除する働きにもなるので、バクテリアを手玉に取れば水槽のお手入れもかなり楽になります。

 

水槽にはフィルター(ろ過装置)を入れることも多いかと思いますが、フィルターは目に見える大きなごみを処理してくれるもので、バクテリアは目に見えない有害物質を除去してくれる掃除屋さんです。

 

バクテリアも生きているので、そのためには餌が必要ですし、住処も必要です。

魚を飼うだけでなく、バクテリアの飼育にも意識した水槽作りを考えて見ましょう。

 

 

本来は魚より先にバクテリアを飼うのが理想

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何度も言いますが、飼育水にバクテリアがしっかりと住み着いていないとお魚は死んでしまいます。

バクテリアは増える過程では魚に有害ですが、安定すれば魚によい環境を作ってくれます。

なので、魚を飼う前にバクテリアを水槽に住まわせるのが理想的。

 

ただ、それを知らずに魚を買ってしまった、とくに金魚すくいで急に金魚を持って帰って水槽を用意すると言う方も多いですよね。

というわけで、バクテリアが住み着く前に魚を水槽に入れてしまった場合を前提にお話していこうと思います。

 

 

 

 

バクテリアはどこから来るの?

お祭り金魚が死んでしまう死因第一位は、紛れもなく「バクテリア不足」です。

ではまずはバクテリアがどこから来て、どういう悪さをするかを考えてみましょう。

 

バクテリアアンモニアを発生させる

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魚に毒になる物質のひとつにアンモニアがありますが、このアンモニアを発生させるのが何を隠そうバクテリアなのです。

フンや餌の食べ残しなどの有機物をバクテリアが分解してバクテリアが発生してしまいます。

このアンモニアを発生させるバクテリアは、迷惑なことにすぐに発生してしまいます。

なので、魚を飼う以上バクテリアは絶対に無視できない存在なのです。

このバクテリアは空気中から来ると言われています。

 

勘違いしてはいけないのがバクテリアが分解してもフンや餌そのものは残るので、バクテリアが発生してもフンや食べ残しの処理は必要になります。

 

 

アンモニアを食べるバクテリアが湧く

アンモニアは水槽内に未来永劫溜め込まれるわけではなく、次にアンモニアを食べるバクテリアが沸いてきます。

このバクテリアアンモニアを綺麗に消滅させてくれればよいのですが、残念ながらそうもいきません。

アンモニアはその後亜硝酸に変身します。

 

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この亜硝酸も魚には毒になります。

アンモニア地獄のあとはこの亜硝酸地獄が来るので、魚としては泣きっ面に蜂どころかミサイル打ち込まれた後にが地雷原を歩くようなものでしょう。

 

お祭り金魚はたいてい7日以内に死んでしまいますが、この亜硝酸が発生するまでもだいたい7日程度。

このことからもバクテリアによってお祭り金魚が死んでしまうことがわかります。

 

 

亜硝酸を食べるバクテリアが湧く

この亜硝酸も水槽内にただ溜まっていくわけではなく、亜硝酸を食べるバクテリアが沸いてきます。

このバクテリアが金魚の救世主!

亜硝酸「硝酸塩」に変身します。

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硝酸塩にも害はあり、多すぎると魚の病気の原因になったりしますが、通常水槽内に硝酸塩があっても問題になることはほとんどありません。

硝酸塩は、その後徐々に分解(還元)されていきますが、通常の飼育環境であれば硝酸塩がなくなるスピードよりも溜まっていくスピードの方が速いので、水換えで除去していきます。

 

「フン」→「アンモニア」→「亜硝酸」→「硝酸塩」というバクテリアの働きをバクテリアサイクル」と呼びます。

 

 

 

バクテリアサイクルが出来上がるまでの日数

飼育方法にもよりますが、このバクテリアサイクルが出来上がるまでは淡水でおおよそ1ヶ月かかります。

海水の場合は環境によるのでなんともいえませんが、ライブロックなどを使う方法で早くて2週間、まったくのゼロから初めて低水温でキープすると長いと数ヶ月かかることすらあります。

ちなみに、淡水で立ち上がったからと言って海水にして飼育すると言う方法は出来ません。

 

淡水を例に取ると、水槽立ち上げから

アンモニア危険値~亜硝酸発生・・・7日目

アンモニア亜硝酸危険値・・・14日目

アンモニア減少・亜硝酸危険値・・・20日

亜硝酸減少・硝酸塩値上昇・・・25日目

順調に行けばこういったイメージで推移していきます。

 

なれた人間がやっても、ゼロから初めて早くても最低20日はかかります。

別な水槽から水やろ過材を持ち込めば10日程度でバクテリアサイクルを確立することは可能ですが、これは普通に立ち上げるよりも知識が必要なのでおすすめしません。

 

 

そもそもバクテリアがいなければいいんじゃ・・・?

アンモニアバクテリアで発生するなら、バクテリアを殺してしまえばいいのでは」と思った方は鋭いですが、残念ながらそうもいきません。

アンモニアを大量生産するのはバクテリアですが、フン自体にも多少含まれていますし、魚自身も微量ずつ排出しています。

そもそも空気中からどんどん入ってくるので、バクテリアをピンポイントに死滅させることは出来ないので、不可能です。

 

 

 

魚をすぐに水槽を入れなければならない場合どうすれば?

通常おすすめしない方法ではありますが、何らかの理由でバクテリアが定着する前の水槽に魚を入れなければならない場合、魚を生かしつつバクテリアを増やさなければなりません。

 

しかし魚を入れている以上アンモニアが発生し、飼育している魚にはリスクが伴います。

なので、まず発生する毒であるアンモニア、そして次に発生する亜硝酸をなるべく水槽に溜めない手入れが必要になります。

魚の数を減らす、逆に水槽を大きめにする、餌を少なくするなどがありますが、一番一般的でコストがかからないのが「水換え」です。

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バクテリアは水には多く住み着かないので、水換えをすれば毒素を逃がしつつバクテリアを増やすことも可能です。

 

はじめの一ヶ月は、汲み置きした水を毎日半分ずつ交換しましょう。

品種によってはこれでも難しいですが、

  • 魚の数を少なめに
  • 水槽を大きめに
  • 餌を少なくする
  • 最初一ヶ月は1日一回半分の水換え

これでリスクはかなり低下します。

 

水替えというと水をすべて捨てて砂利も洗ってぴかぴかにする印象がありますが、これはご法度。

基本は半分程度水を抜き、減らした分塩素を抜いた水を補充し、ガラスに付いたコケは専用のスポンジで除去、砂利はなるべくいじらないのが基本です。

 

水を汲み置きする理由は、水道水に含まれる「塩素(カルキ)」はまさに人間に害のあるバクテリアを増やさないためのもので、水槽のバクテリアを死滅させてしまうから。

塩素は水温や気温にもよりますが水道から出てからだいたい6時間で無害なレベルにまで下がります。

カルキ抜き(ハイポ)を使用すれば汲み置いておく必要はありませんが、水温が低すぎないように水槽の水と同じ温度の水を使用してください。

 

 

 

 

バクテリア剤を入れるのではダメなの?

熱帯魚屋さんにいくと、バクテリア剤」というものがたくさん置いてあります。

僕の勤めていたショップにもたくさんあります。

「これを入れるんじゃダメなの?」と思う方も多いかと思いますし、一部では店員さんがおすすめする場合もあります。

ただ、個人的には効果は薄いと考えています。

というのも、バクテリアも生き物なので、あのボトルで店頭に常温で置いている状況で少なくとも元気ではありませんし、最悪死んでしまっていることが多いからです。

またバクテリア剤に水槽に住み着くバクテリアと同じバクテリアが入っているとは限らず、本来住み着くはずのバクテリアの繁殖を邪魔してしまう可能性もあるからです。

 

このような理由から、僕はお客さんにバクテリア剤をおすすめしませんでした。

 

 

 

 

魚が入っていない水槽でバクテリアを増やすには?

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魚を水槽に入れていればこのように徐々にバクテリアが増えていきます。

しかしその過程で魚に有害なものも水槽内に発生してしまいます。

なので、基本的には水槽セットを購入し、魚を入れる前に水を張ってバクテリアを住まわせておきましょう。

 

ただ、まずはアンモニアがなければバクテリアは十分に増えてくれません。

なので、水槽内にアンモニアを発生させる必要があります。

 

アンモニアを添加する

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単純にアンモニアを購入して添加する方法があります。

薬局には、「アンモニア水」が売っています。学校の科学の実験で見たことがあるかもしれませんね。

ただバクテリアが十分に繁殖すればアンモニア水は不要になってしまうので無駄になってしまいますし、分量も難しいです。

 

 

魚を入れる

本末転倒ですが、魚を入れればバクテリアサイクルは完成します。

なので魚を入れておくのが見た目的にもいいですが、魚が死んでしまったら意味がありません。

つまり死なない魚を入れればバクテリアサイクルを作りつつ魚を飼育することが出来ます。

これを「テストフィッシュ」と言います。

 

具体的には淡水であればアカヒレやベタ海水であればデバスズメなどです。

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ただし飼育したい魚と同居できるとは限らないので、バクテリアサイクルが出来上がった後に飼育する環境も整える必要が出てきます。

 

 

餌を入れる

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魚を飼育するときに餌は必須になりますので、この餌を使用してバクテリアサイクルを作り上げる方法がベターです

魚のフンなどに比べてアンモニアの量は少ないですが、徐々に発生してバクテリアサイクルを作り上げてくれます。

餌自体は水槽に残りますので、バクテリアサイクルが出来上がったら網などですくって綺麗にしましょう。

 

 

 

 

 

 

水槽にバクテリアの住処を入れよう!

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バクテリアは水の中にふわふわ浮いているわけではなく、ほとんどはどこかに住み着いている場合が多いです。

実際には、バクテリアが増えるのにいい環境の住処でたくさん増えているというほうが正しいです。

つまり効率よく増やすには、バクテリアの家になる住処を入れてあげる必要があります。

 

 

フィルターのろ過材

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多くの場合、水槽にフィルター(ろ過装置)を入れますよね。

フィルターには、脱脂綿のようなろ過材や、石のようなろ過材が入っています。

バクテリアはこのろ過材が大好きで、そこに多く住んで水を綺麗にしてくれています。

 

ろ過材の中にはろ過材自体で大きなごみを取り除くのではなく、バクテリアの定着を目的としたものも多く存在します。

軽石のようなリング型のものや、プラスチックのボールのようなものなど様々です。

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ろ過材は汚くなったら交換しますが、ろ過材をまるごと交換するタイプのフィルターの場合、せっかく住み着いたバクテリアも捨ててしまうことになってしまいます。

なので、なるべくなら複数ろ過材を入れられるフィルターを選ぶか、バクテリア定着用のろ過材を別途入れておくとよいでしょう。

 

 

砂利(底砂)

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水槽の砂利は見た目を引き立たせるために入れる方が多いですが、実はバクテリアの住処としての役割が非常に高いです。

バクテリアの住める面積も広く、表面は酸素がいきわたり、底は酸素が少ないという環境はそれぞれバクテリアが好む環境です。

 

なので、水換えをする場合にも砂利はいじらないのが基本です。

どうしても砂利が汚れてしまった場合は、ろ過材や水槽の水は取っておいて砂利を洗った後元に戻します。

砂利を洗うときにも、塩素を残さないためになるべく塩素を抜いた水を使用するか、最低でも仕上げに塩素を抜いた水ですすぐようにしましょう。

 

 



まとめ:バクテリアを制するものが水槽を制す!

魚を飼うとき、どうしても目に見える部分を重視しがちです。

しかし何より大切なのがこのバクテリア。目に見えないものです。

簡素な水槽でも、バクテリアさえしっかりしていれば魚は元気に育ちますし、いくら見てくれがよくてもバクテリアのバランスが崩れていると上手に飼育することは出来ません。

 

古くから金魚になじみのある日本人ですが、このバクテリアサイクルに関してはまだまだ知名度が低いです。

基本どころか終始重要になるバクテリアを制して、立派なアクアリストを目指しましょう!

 

 

 

 

 

 

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